【家紋】下がり藤の種類一覧|気になる意味や苗字も考察

【家紋】下がり藤の種類一覧|気になる意味や苗字も考察

藤の花は優雅に垂れ下がる姿は幻想的な美しさを放ち、古くから日本人の美意識に深く根差した植物であると言えます。その藤を家紋に用いたのが「下がり藤」です。実際のところ、どのような家紋が存在するのでしょうか?

この記事では、下がり藤の種類を一覧化しています。また、気になる意味や藤の家紋を使用している苗字も紹介しているので、日本の歴史について興味のある人たちは参考にしてみてください。

目次

下がり藤の意味と由来

下がり藤
藤の花

下がり藤の家紋は藤原氏との関係を示していると言われています

苗字の漢字と一致していることから、藤原氏が好んで用いたと推察されます。藤原氏は国内で凄まじい勢いで繁栄していたことから、その後の時代に藤の家紋を用いた人たちは意匠に一家の安寧や繁栄を込めていたと考えられています。

また、藤は古くから鑑賞用として愛された花でした。丈夫な鶴は生活資材としても活用されており、日本の人々に馴染みの深い植物だったのです。

実際、日本の文学や芸術でも藤の花がモチーフになることが多く、絵画や詩のなかにもしばしば登場しています。日本文化の花として愛されてきた藤の花だからこそ当時に家紋としてよく使われるようになったとも言えるでしょう。一説によれば、家族との絆を示しているとも言われています。

下がり藤の種類一覧

さて、「下がり藤」の家紋には、どのような種類があるのでしょうか?

下がり藤の家紋は50種類以上の意匠を持っています。ここでは、代表的な3つの家紋を紹介します。

下がり藤丸に下がり藤下がり藤に石文字
さがりふじまるにさがりふじさがりふじにいしもじ
下がり藤の種類一覧

第1に、「下がり藤」は藤の花をモチーフにした最も代表的な家紋です。藤原氏が使っていたもので、格式と美意識を象徴し、家族の誇りと絆を表しています。

第2に、「丸に下がり藤」は丸い図形の中に、下り藤が美しく描かれたものです。藤の花が円状に配置され、その蔓が優雅に垂れ下がる様子が特徴です。高貴な家の紋章として用いられています。

第3に、「下がり藤に石文字」は石田三成が使用した家紋です。これに関しては、以下の記事で詳細に言及しているので、興味のある人たちは確認してみてください。

下がり藤と関係する苗字

それでは、下がり藤と関係する苗字には、どのようなものがあるのでしょうか?

結論から言えば、下がり藤の家紋を用いたと考えられる苗字は「〇藤」である可能性が高いです。具体的には、安藤、加藤、後藤、近藤など「藤」が含まれる一族が「下がり藤」を使っていると推察されます。

なお、藤原北家の隆盛は歴史的に見ても凄まじかったことは有名な話です。すなわち、藤原氏の血を引くものが多数いたわけです。当然、藤原氏といえども主流派から外れると朝廷内で出世できなくなってしまいます。そこで、地方へ下って豪族なり、武家として生きる道を選んだ人たちもいました。

彼らは「藤原氏」に関わる一族として、苗字に「藤」を用いたとされます。その結果、現在でも「〇藤」という苗字が日本でも数多く見受けられると考えられます。藤の家紋は、その繋がりを表している可能性があるわけです。

下がり藤の家紋が多いのはなぜ?

以上のことを考慮すると、下がり藤の家紋が数多く使われている理由も見えてきます。

ここでは、大きく2つの理由について説明していきます。

理由1 藤原氏の一族が全国各地で生まれた

第1に、藤原一族の血筋が全国各地に飛び火した結果、支流として生まれた藤の苗字を用いたものたちが下がり藤を使った可能性があるわけです。

事実、大名・旗本合わせて百七十家が「藤」に関わる姓を使用したとも言われています。実際に使っている家は1割に満たないと言われていますが、母数が多ければ家紋として目立つのもよくわかります。

なお、下がり藤の家紋は格式が高いものとして位置付けられており、武士としても一族の誇りを象徴するのに適した意匠だったのでしょう。

理由2 藤の花は愛されていた

第2に、藤の花それ自体が意匠として優れていたことも下がり藤が普及した要因であると考えられます。

藤の花は藤原氏が用いていたことから格式が高く、その優雅な美しさは多くの日本人に好まれていました。現代でも、下がり藤が結婚式や祝いの席などで用いられるのは、意匠として縁起が良いイメージがあるからだと考えられます。

先述のとおり、一家の繁栄という意味合いもあることから「家紋」として使うのに適していたとも考えられます。

縁起を意識して「上がり藤」が生まれた

日本人は古くから「縁起」を意識する文化があります。すなわち、物事が起こる「兆し」として、関わるものに「良いもの」と「悪いもの」というイメージを付与しているわけです。みなさんのなかにも、勝負時に「勝つ」の言葉を含む「カツ丼」を縁起物として食べたことのある人たちもいるはずです。

その関連で「下がり富士」の「下」が縁起が悪いとして「上がり藤」ができたと考える説もあります。言霊信仰のようなものが今でも日本人の精神構造に何かしらの影響を与え続けていることを考えると、そこから表現のあり方も変化するのは「日本らしい意匠」と言えます。

参考文献一覧

  • 『決定版 知れば知るほど面白い!家紋と名字』綱本光悦 西東社
  • 『面白いほどよくわかる 家紋のすべて 安達史人』日本文芸社
  • 『家紋から日本の歴史をさぐる』インデックス編集部 ごま書房
  • 『日本の家紋事典 由来と解説』大隈三好 金園社
  • 『知識ゼロからの日本の家紋 入門』楠戸義昭 幻冬社
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この記事を書いた人

DEEP JAPAN QUEST編集部は日本文化に関する総合情報メディアを運営するスペシャリスト集団です。DEEP JAPAN QUEST編集部は、リサーチャー・ライター・構成担当・編集担当・グロースハッカーから成り立っています。当サイトでは、日本文化全般に関わる記事を担当しています。

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