みなさんのなかには、「日本人の遺伝子が地球最古である」という都市伝説のような噂を耳にしたことのある人たちもいるかもしれません。インターネットで個人が自由に情報発信できる時代になって、根も葉もない話が拡散される現代では、事実をちゃんと確認することが大切です。
この記事では、「日本人の遺伝子は地球最古なのか?」という疑問について考察しています。また、気になるルーツや日本人と同じ民族にも言及しているので、日本人の起源に興味のある人たちは参考にしてみてください。
日本人の遺伝子は地球最古なのか?
さて、「日本人の遺伝子は地球最古である」という噂は本当なのでしょうか?
結論から言えば、日本人の遺伝子が地球最古であることを裏付ける科学的根拠やデータはありません。現時点では、イェール大学の人類学者ジェシカ・トンプソンの研究チームがアフリカで発見した約20,000年前の人類のDNAが最古の遺伝子として知られています。
そもそも「日本」という国が成立したのは、神武天皇が即位した紀元前660年2月11日です。それ以前は、まだ日本という統一された国はなかったわけです。数万年前という視点に立てば、大陸の構造も今とは異なっていますから、ひとつの国に住む人たちを「最古の遺伝子」として説明するのは無理があります。
すなわち、日本人の祖先が世界最古という発見が見つかったとしても、それはアジアの他の国にも共通している可能性があります。したがって、「日本人の遺伝子が地球最古である」という主張それ自体が成り立たないと推察されます。
日本人のルーツ
それでは、私たち日本人のルーツは、どのような民族に由来しているのでしょうか?
これに関しては、縄文人と大陸から渡来した弥生人の混血が日本人の民族的ルーツであるという説が有力です。ただし、学者の中では諸説あります。例えば、沖縄県にある旧石器時代の遺跡で発見された「港川人」が祖先であるという主張や、古墳時代の「古墳人」こそが日本人のルーツであるなど、長きにわたって議論が繰り返されています。
実際、数万年も前のことですから科学的根拠のある確かな論を構築するのは簡単なことではないのです。しかし、近年では、DNA解析の技術も進んでいることから、遺骨などの出土物から現代を生きる日本人との共通点を見出し、これから先に日本人のルーツが確固たるものとして明らかになるかもしれません。
また、未来の歴史的発見によっては、これまでの前提が覆って全く予想だにしないところにルーツがあったと証明される可能性だってあります。とりわけ、だれも「生命の始まり」を筆頭に人間の根本的なスタートを解き明かせない以上、新しい発見は常にあり得るのです。
日本人と同じ民族
なお、歴史的に日本人と同じ民族だった可能性の高い国は、どこなのでしょうか?
これに関しては、次に挙げる国々とは日本人と民族的な共通性があったと考えられます。
- 韓国・北朝鮮
- 中国(特に東北地方)
- 琉球王国(現在の沖縄)
- アイヌ民族
これらの国や民族は古くから現在の日本に住んでいた民族と交流していることから、遺伝子的な共通性があると考えられます。いわゆる、「混血」が繰り返されることで自然と似通った可能性があるわけです。実際、今現在でも気質に違いはあれども見た目がよく似ていますよね。
学者の研究を調べてみよう
日本人の起源となる遺伝子をめぐる議論は学術界では白熱しています。有力説と呼ばれるものはあれども、数万年前の昔を遡って科学的に確実なものとして立証できるわけではない以上、そこには、いろんな仮説が生まれてくるわけです。
とはいえ、都市伝説のような意味のわからない個人が提唱する論を無闇に信じるのは危険です。その大半が神話めいた思い込みに依拠するものですから、学者の研究と照らし合わせて検証することを推奨します。何を信じるかは自由かもしれませんが、真実を誠実に追求する姿勢があるならば、どの論にもしがみつくことなく、フラットな目線で根拠と向き合うことが必要です。
悲しいことに「自説の否定=自己の否定」という自分と主張が不可分の関係として繋がってしまっている人たちは、異なる立場からの批判的考察に対して攻撃的になる場合があります。聞く耳のない相手との話し合いからは何も生まれませんし、時間を無駄にするだけです。
デマが蔓延しやすい時代において、自分で情報を検証する習慣を身につけることがとんでもない嘘に巻き込まれずに賢く生きる術として必要なのです。
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