一番性格悪い男女の血液型は存在する?ランキングの是非を考察

一番性格悪い男女の血液型は存在する?ランキングの是非を考察

日本人は血液型と気質を関連づける傾向が強くことで有名です。具体的に言えば、A型は「几帳面」、B型は「マイペース」、O型は「穏やか」、そしてAB型は「変わりもの」という極めてざっくりした性格的分類が日常的なコミュニケーションの中に深く浸透しているのです。

けれども、血液型と性格に関係があることを示す科学的根拠は存在しません。実際、血液型のせいで損をしている人たちもいますから、エンタメならともかく考え方としては誤っていることをはっきりさせるべきです。

この記事では、「一番性格悪い男女の血液型は存在するのか?」という問いを立てて、気質との関係性について考察しています。また、よくある血液型ランキング型のコンテンツがもたらす弊害についても解説しているので、血液型と心理の関係について興味のある人たちは参考にしみてください。

目次

一番性格悪い男女の血液型は存在する?

さて、ABO方式で分類されるA型、B型、O型、AB型の4種類の中で最も性格が悪い男女の血液型を評価することは可能なのでしょうか?

結論から言えば、血液型と性格に関連性がない以上、一番性格が悪い男女を血液型によって診断することは不可能です。これに関しては、九州大学大学院デザイン人間科学部の妹尾武治准教授が次のように述べています。

心理学者をしていると年に何度か「血液型診断」についてよく質問される。血液型診断とは、血液型のタイプであるA, B, AB, Oの4パターンごとに典型的な性格特性があるという言説のことである。はじめに結論を言ってしまえば、血液型診断を支持するような科学的なデータは一切無く、血液型診断は全くもって根拠の無いエセ科学である。

びVビよみもの『血液型診断って本当!?』より引用

特に、B型は「自己中心的な性格である」というネガティブな印象が付与されています。みなさんのなかにも、B型であることを否定的に思っている人は少なからずいるはずです。実際、一番性格の悪い男女のランキングを作成するとなれば、B型が1位に選ばれる可能性が高いと考えられます。

しかし、血液型と性格に関係がない以上、「B型は性格が悪い」という主張は成り立たないのです。当事者からすれば良い迷惑に違いありません。

一番性格悪い男女の血液型ランキングの是非

血液型と性格に関わりがないのにもかかわらず、一番性格悪い男女の血液型ランキングなんてものを作るのは愚の骨頂です。性格の良し悪しは育った環境や人間関係、そして評価者の価値観によっても異なりますから、血液型のタイプ別に判定できるものではないのです。

それにもかかわらず、世の中では血液型をベースとするランキングがいくつも存在します。特に、ネットの世界では読まれるものは商業的価値があるため、モテる血液型ランキングや性格が良い血液型ランキングなど、全く根拠のない格付けが無数にコンテンツ化されています。

昔ほどでもないにせよ、テレビ業界などのマスメディアもまた血液型と性格を関連づけた誤ったイメージを流布してきました。近年では、「放送倫理・番組向上機構」の取り組みもあってか、血液型に関する番組はかつてほど多くはありませんが、ある種の差別を助長してきたのは確かです。

詳しくは以下のリンクをご覧ください。

それでもなお、血液型のランキングに興味・関心が集まるのは、それだけ文化として根付いてしまったということの現れなのだと考えられます。

血液型診断は心理的に都合がよい

血液型と性格の関連性について科学的根拠が存在しない以上、「血液型診断は大嘘である」と言わざるを得ません。けれども、私たちは「自分たちが何者なのか?」という自らを知りたい欲求を持っていますから、何かと格付けしたがるわけです。これは占いが流行る理屈のひとつでもあると考えられます。

また、自分で答えを出す不安と責任から逃れるために、外部の何かにすがって答えを出してもらいたいと望む人たちにとっても、血液型診断は心理的に都合がよい道具になります。すなわち、何か悪いことがあれば、血液型のせいにできるわけです。

しかし、血液型のせいにしても、問題を解決することはできません。むしろ、血液型によって規定された運命のようなものを信じれば、同じ過ちを永遠と繰り返し続けることになるでしょう。何度も言いますが、血液型で相性や性格が決まることはないんです。

自分の失敗を血液型に転嫁し続けた先に、何があるのでしょうか?

その答えは簡単です。何も変わらない自分がそこにいるだけです。たかが血液型診断くらいで大袈裟かと思う人もいるかもしれませんが、人間の価値観を左右するフレームワークとしてこんな愚かしいものがいつまでも信じられ続けていると、他者とのコミュニケーションに弊害が出るおそれがあります。

どんな血液型だったとしても、見るべきは一人ひとりの振る舞いであり、態度であり、行動です。それを差し置いて、B型だから「自己中心」やAB型だから「変わり者」なんて解釈は単なる差別です。改めて、日本文化に根付いてしまった血液型診断の盲信は今すぐにやめたほうが賢明であると思います。

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この記事を書いた人

DEEP JAPAN QUEST編集部は日本文化に関する総合情報メディアを運営するスペシャリスト集団です。DEEP JAPAN QUEST編集部は、リサーチャー・ライター・構成担当・編集担当・グロースハッカーから成り立っています。当サイトでは、日本文化全般に関わる記事を担当しています。

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