2025年7月5日隕石落下の可能性はあるのか？予言の真偽を考察

2025年3月8日

2025年7月5日に隕石が地球に落下するという予測がインターネット上で広く拡散され、多くの人々の不安を引き起こしています。この記事では、この予測の科学的根拠、NASAやJAXAなどの宇宙機関の見解、可能性のある影響、そして予言の背景について詳細に解説します。

現時点では科学的な証拠に基づく隕石衝突の危険性は確認されていませんが、天体衝突に関する正確な知識と備えは重要です。SNSやインターネット上の情報を鵜呑みにせず、信頼できる情報源から正確な情報を得ることが大切です。

2025年7月5日隕石落下の可能性は本当か？

2025年7月5日の隕石落下予測は、主に二つの情報源から広まっています。一つは日本の漫画家たつき諒氏の「私が見た未来」という漫画、もう一つは保江邦夫氏による予言です。しかし、この二つの予測には科学的な裏付けが不足しているというのが現状です。

たつき諒氏は1999年に「私が見た未来」を出版し、その中で自身の予知夢に基づいて未来の出来事を予言しました。彼の予言が注目されるようになったのは、2011年の東日本大震災を事前に予見していたと言われているからです。そして2021年に出版された「私が見た未来完全版」では、「2025年7月5日4時18分」に大災害が起こると具体的に予言しています。

一方、保江邦夫氏はフィリピン海に隕石が落下する可能性について言及し、2025年7月5日に小惑星の破片がフィリピン沖に衝突する可能性があると主張しています。保江氏はニュートンの運動方程式（F = ma）を用いて隕石の軌道を予測したとしていますが、この予測がNASAや他の宇宙関連機関からのデータに基づいているという主張には、具体的な根拠が示されていません。

天文学者や宇宙機関は、地球に接近する天体を継続的に監視していますが、2025年7月5日に地球に衝突する危険性のある天体は現時点で確認されていません。実際に、地球に衝突する可能性のある天体は、通常、何年も前に発見され、その軌道が詳細に計算されます。さらに、NASAは2022年に「DART」ミッションを成功させ、小惑星の軌道を変更する技術も実証しています。

NASAとJAXAの見解｜2025年7月5日隕石衝突の確率と軌道

NASAの公式見解によると、2025年7月5日に隕石が地球に衝突するという科学的な証拠は現時点では見つかっていません。NASAのジェット推進研究所（JPL）によれば、2025年に地球に衝突する可能性のある大規模な天体は特定されていないのです。

NASAは地球近傍天体（NEO）監視プログラムを通じて、潜在的に危険な小惑星や彗星を継続的に追跡しています。このプログラムは、地球に接近する可能性のある天体を早期に発見し、その軌道を正確に予測するために設計されています。NASAのデータによれば、現在注目されている小惑星にはベンヌ（101955 Bennu）やアポフィス（99942 Apophis）などがありますが、これらの天体も2025年には直接の衝突リスクはないとされています。

一方、実際に観測されている小惑星「2024 YR4」については、欧州宇宙機関（ESA）が2032年12月22日に地球に衝突する可能性があると分析しています。この小惑星は2024年12月に発見され、直径は40〜90メートルと推定されています。

2025年2月の時点での衝突確率は約2.2%とされていますが、宇宙航空研究開発機構（JAXA）のプラネタリーディフェンスチーム長である吉川真准教授は、「今の段階でも98%はぶつからないわけで、心配する必要はない。観測が増えると誤差が小さくなるので、恐らく4月までの観測で衝突確率はゼロになる可能性が高い」と述べています。

重要なのは、科学者たちが小惑星の軌道を常に更新し、より精密な予測を行っているという点です。初期の観測では不確実性が大きいため、衝突確率が低いながらも表示されることがありますが、観測が進むにつれて通常はこの確率が下がっていくのです。

隕石の大きさと落下場所

保江邦夫氏の予測によれば、2025年7月5日にフィリピン海に隕石が落下するとされていますが、その大きさについては具体的な情報が限られています。仮に大きな隕石がフィリピン沖に落下した場合、どのような影響が考えられるでしょうか。

隕石の影響は、その大きさ、構成物質、落下速度、そして落下角度によって大きく異なります。例えば、直径40〜90メートルの小惑星「2024 YR4」は、1908年にシベリア上空で約2000平方キロの森林をなぎ倒した「ツングースカ大爆発」を引き起こした隕石に相当するサイズと言われています2。

海洋に落下した場合、隕石のエネルギーが海水に伝わり、津波を発生させる可能性があります。保江氏の解析によると、フィリピン海への衝突により、津波や地震の影響が日本を含む周辺地域に甚大な被害をもたらす可能性があるとされています。

しかし、科学的なシミュレーションでは、小規模な隕石（数十メートル程度）が海洋に落下した場合、生じる津波は局所的であり、遠方まで伝播する大規模な津波にはならないとされています。これは、隕石落下による水の変位が、地震による海底地盤の変動とは異なるメカニズムを持つためです。

また、隕石落下による地震の発生については、衝突エネルギーが地殻に伝わる効率に依存します。海洋への落下の場合、エネルギーの多くは水によって吸収され、地震として伝わるエネルギーは比較的小さくなります。

実際に危険な被害をもたらす可能性があるのは、直径1キロメートル以上の隕石であるとされており、そのような大きさの天体が地球に接近する場合には、数年から数十年前に発見され、国際的な対応が検討されることになります。

津波や地震のリスク

仮に隕石がフィリピン海に落下した場合、津波や地震によるリスクはどのようなものが考えられるでしょうか。保江邦夫氏の予測では、この衝突により発生する津波や地震の影響が日本を含む周辺地域に甚大な被害をもたらす可能性があるとされています。

海洋への隕石落下による津波の特徴は、通常の地震による津波とは異なります。隕石衝突によって生じる津波は、衝突地点から同心円状に広がり、初期の波高は非常に高いものの、距離とともに急速に減衰する傾向があります。また、水深が浅くなるにつれて波高が増加するという通常の津波の特性は同様に当てはまります。

安全な場所としては、一般的な津波対策と同様に、海岸から離れた高台や内陸部が挙げられます。特に、海抜の高い地域や津波避難ビルとして指定されている建物は、沿岸部に住む方々の避難先として重要です。地震のリスクについては、海洋への隕石落下による地震の影響は、同規模の通常の地震と比較して限定的であると考えられています。これは、隕石のエネルギーの多くが水や大気によって吸収されるためです。

重要なのは、現時点で2025年7月5日に隕石が落下するという科学的な証拠はないため、過度に恐れる必要はないという点です。しかし、日本は地震や津波の多い国であるため、日常的な防災準備は常に重要です。地域のハザードマップの確認、避難経路の把握、非常用持ち出し袋の準備など、通常の災害対策を行っておくことが賢明です。

予言と都市伝説の真偽｜たつき諒や保江邦夫の主張を検証

2025年7月5日の隕石落下予言の主な発信源は、漫画家のたつき諒氏と、保江邦夫氏の二人です。これらの予言の内容と信頼性について検証してみましょう。

たつき諒氏は1999年に「私が見た未来」という本を出版し、その中で自身の予知夢に基づいた未来予測を行いました。注目されるようになったのは、この中で2011年の東日本大震災を予言していたとされている点です。そして2021年に出版した「私が見た未来完全版」では、2025年7月5日4時18分に大災害が起こると予言しています。

たつき氏の予言が一部で信じられる理由は、過去の予言が当たったと考えられている点にありますが、予知夢という科学的に実証が難しい現象に基づいていることや、出版された予言の中には当たらなかったものも多数あるという点は考慮する必要があります。

一方、保江邦夫氏はニュートンの運動方程式を用いて隕石の軌道を予測し、2025年7月5日にフィリピン海に隕石が落下する可能性があると主張しています。しかし、この予測がNASAや他の宇宙関連機関のデータに基づいているという主張については、具体的な情報源や計算過程が公開されていないため、検証が困難です。

科学的な観点からは、予言や予知夢による予測は、再現性や検証可能性といった科学の基本原則を満たしていないため、信頼性は低いとされています。一方、天体の軌道計算による予測は科学的手法ですが、そのためには正確な観測データと計算手法が必要です。

現在の科学技術では、地球に接近する天体を早期に発見し、その軌道を高精度で計算することが可能になっています。NASAやJAXAなどの信頼できる宇宙機関からの情報を基に判断することが、最も信頼性の高いアプローチと言えるでしょう。

とはいえ、独自の見解を持って未来について発言すること自体は個々人の自由です。実際、未来に関するすべての発言は可能性として0%になることはありません。しかし、科学的根拠のない情報に振り回されて不安に怯えるのも苦しいことです。どの考え方を支持するのも自由ではありますが、慎重に判断することを忘れないでください。