MBTI診断で本物はどれ?16personalitiesが偽物である理由と公式サイト

MBTI診断で本物はどれ?16personalitiesが偽物である理由と公式サイト

インターネット上で簡単に受けられるようになったMBTI診断。「あなたは16タイプのどれに当てはまるか」という診断が人気を集め、特に若い世代を中心にSNSでの話題も増えています。しかし、多くの人が利用している「16personalities」が実は本物のMBTI診断ではないということをご存知でしょうか?

本記事では、MBTI公認アナリストとして10年以上の経験を持つ筆者が、本物のMBTI診断とは何か、なぜ16personalitiesが正確ではないのか、そして信頼できる公式サイトについて詳しく解説します。あなたの性格をより正確に理解するための手がかりとなれば幸いです。

目次

1MBTI診断とは?基本的な理解

MBTIとは「Myers-Briggs Type Indicator」の略で、アメリカの母娘、キャサリン・クック・ブリッグスとイザベル・ブリッグス・マイヤーズによって開発された性格診断ツールです。彼女らは精神科医カール・ユングの心理学理論をベースに、より実用的で一般の人々にも利用しやすい性格タイプ論を構築しました。

MBTIの核心は4つの二極性による心理的傾向の測定にあります。これらは:

  1. エネルギーの方向性:外向(Extraversion:E)vs 内向(Introversion:I)
  2. 情報収集の方法:感覚(Sensing:S)vs 直観(iNtuition:N)
  3. 意思決定の方法:思考(Thinking:T)vs 感情(Feeling:F)
  4. 外界への対応方法:判断(Judging:J)vs 知覚(Perceiving:P)

これらの組み合わせにより、ESTJ、INFP、ENFJなど、全部で16種類のパーソナリティタイプが生まれます。各タイプには固有の認知的特徴、強み、弱み、コミュニケーションスタイルがあるとされています。

重要なのは、MBTIは本来、人々を単純に分類するためではなく、自己理解や他者との相互理解を深めるためのツールとして開発されたという点です。自分の思考パターンや行動傾向を客観的に把握し、より効果的な自己啓発やキャリア選択、人間関係の構築に役立てることが本来の目的です。

本物のMBTI診断と偽物の違い

公式なMBTI診断の特徴

本物のMBTI診断には、いくつかの明確な特徴があります。まず最も重要なのは、Myers & Briggs財団(The Myers & Briggs Foundation)またはその公認機関による認証を受けていることです。公式MBTI診断は、数十年にわたる研究と検証を経て、心理測定学的な信頼性と妥当性が確保されています。

具体的には、公式診断では以下の特徴があります:

  • 93問以上の質問項目(公式Step Iでは93問、Step IIではさらに多い)
  • 強制二択(「はい/いいえ」や「AとBのどちらが自分に近いか」)形式の質問
  • 専門的な解釈フレームワークに基づく結果分析
  • 認定を受けたMBTIプラクティショナーによる解説(理想的には)

非公式診断の問題点

一方、インターネット上に溢れる非公式MBTI診断には、いくつかの共通した問題点があります:

  • 質問数の少なさ(30問程度のものも珍しくない)
  • 簡略化された質問内容と選択肢
  • オリジナルのMBTI理論と異なる解釈フレームワークの使用
  • 科学的検証プロセスの欠如

特に注意すべき点として、多くの無料診断サイトはMBTI「風」のタイプ診断であり、実際にはMBTIの知的財産権を持つMyers & Briggs財団の公認を受けていません。これらは娯楽としては楽しめても、本格的な自己理解や人材開発ツールとしては信頼性に欠けると言えるでしょう。

信頼性を左右する要因

診断結果の信頼性を左右する要因として、質問の質と量、統計的検証、そして結果の解釈における専門性が挙げられます。公式MBTIでは、数十年にわたる膨大なデータ収集と統計分析により、タイプ判定の正確性が高められています。また、多様な文化や言語においても一貫性のある結果が得られるよう、継続的な研究と改善が行われているのです。

なぜ16personalitiesは本物のMBTIではないのか?

16personalitiesは世界中で最も人気のあるパーソナリティ診断サイトの一つですが、多くの人が誤解しているポイントがあります。それは「16personalities=MBTI」という認識です。実は、16personalitiesは独自のモデルを使用しており、正確には「MBTI」ではありません。

16personalitiesの実態

16personalitiesで使われているのは、「NERIS Type Explorer®」と呼ばれる独自のモデルです。このモデルはMBTIの枠組みを参考にしつつも、実際には「Big Five(ビッグファイブ)」と呼ばれる別の性格理論の要素を取り入れています。最も明確な証拠は、16personalitiesの結果に含まれる「-A(Assertive:自己主張型)」または「-T(Turbulent:慎重型)」という追加の軸です。これはオリジナルのMBTIには存在しない要素です。

この違いは単なる小さな変更ではありません。理論的基盤が異なるため、本来のMBTIが測定しようとしている認知機能(Cognitive Functions)の複雑なシステムを正確に反映していないのです。

16personalitiesの限界と問題点

16personalitiesの限界としては、以下の点が挙げられます:

  1. 認知機能の軽視: MBTIの深層には「認知機能」と呼ばれる概念があり、各タイプには固有の機能スタックがあります。例えばINFJは「内向的直観(Ni)」「外向的感情(Fe)」「内向的思考(Ti)」「外向的感覚(Se)」という特定の順序で機能を使用するとされていますが、16personalitiesではこの重要な側面に十分な注意が払われていません。
  2. 質問設計の問題: 16personalitiesの質問は行動傾向に焦点を当てています。しかし、本来のMBTIは内面的な認知プロセスを測定することを重視しています。例えば「パーティーは好きですか?」という質問で内向/外向を判断するのは表面的すぎるのです。
  3. 過度の単純化: 各タイプの説明が一般化されすぎており、ステレオタイプを強化する傾向があります。

16personalitiesの良い点とその活用法

とはいえ、16personalitiesには価値がないというわけではありません。入門用ツールとしては優れた面もあります:

  1. アクセスのしやすさ: 無料で使いやすいインターフェースにより、パーソナリティ心理学に興味を持つきっかけを提供しています。
  2. 魅力的な結果表示: 視覚的に魅力的な結果ページやキャラクター化されたアイコンは、自己理解への興味を促進します。
  3. 一定の有用性: 完全に正確ではなくても、自分自身への洞察のスタート地点としては役立ちます。

16personalitiesは「入門編」として捉え、そこから公式MBTIや他の信頼性の高い性格診断へと進むのが理想的です。また、得られた結果を絶対視せず、自己反省のための一つの視点として活用することが大切です。

本物のMBTI診断を受けられる公式サイト・機関

Myers & Briggs財団公認のMBTI診断

本物のMBTI診断を受けたい場合、最も信頼できるのはMyers & Briggs財団が認定する公式サイトです。グローバルでは「MBTI® Complete」が公式オンライン診断として提供されています。このサービスは有料(約50ドル前後)ですが、認定されたフレームワークに基づく93問の質問と詳細な結果分析が含まれています。

公式サイト:https://www.mbtionline.com/ (英語)

アメリカでは心理評価ツールの大手プロバイダーであるTCP(The Center for Applications of Psychological Type)もMBTI認定機関の一つで、オンライン診断を提供しています。

日本国内の公式MBTI提供機関

日本では、日本MBTI協会(JMBTI)が公式MBTI診断の窓口となっています。協会を通じて、以下のようなサービスが提供されています:

  1. MBTI公式日本語版の受検: 認定されたMBTIプラクティショナーによる対面またはオンラインでの診断セッション(料金は約15,000円〜30,000円)
  2. 企業研修・グループワークショップ: 組織開発やチームビルディングのためのMBTI活用プログラム
  3. MBTI認定プラクティショナー養成コース: 専門家育成のための研修

日本MBTI協会ウェブサイト:https://www.myersbriggs.co.jp/

また、「ヒューマンリソーシズ総合研究所」や「日本能率協会マネジメントセンター」なども、公式MBTI診断の提供機関として知られています。

意外と知られていない日本語での受検方法

あまり知られていませんが、日本在住者でも英語に抵抗がなければ、海外の公式サイトでMBTI診断を比較的安価に受けることも可能です。例えば、シンガポールやオーストラリアのMBTI提供機関では、オンラインで受検できるサービスを提供しており、日本の対面診断よりも手頃な価格で利用できる場合があります。ただし、結果の解釈には文化的背景の違いを考慮する必要があるでしょう。

私の実務経験では、異文化間の診断結果比較において興味深い傾向が見られます。例えば、日本人は集団主義的文化の影響で、欧米人よりも「F(感情)」タイプと判定される傾向が若干高いなどの特徴があります。

信頼性の高いMBTI診断を選ぶポイント

診断テストの質を見極める指標

信頼性の高いMBTI診断を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう:

  1. 質問数と回答形式: 最低でも60問以上、理想的には90問以上あるか。また、複数の選択肢ではなく、二択形式(強制選択)を採用しているか。
  2. 理論的基盤の明示: 使用している理論的フレームワークが明確に説明されているか。特に「認知機能」に関する言及があるか。
  3. 結果の複雑さ: タイプだけでなく、各指標のスコアや強度、さらには副次的な特性について詳細な分析が提供されるか。
  4. 科学的検証の有無: 信頼性や妥当性に関する統計データや研究が公開されているか。

専門家の関与度をチェックする方法

診断サイトの専門性を判断するには、以下の点に注目してください:

  1. 監修者情報: 心理学の専門家やMBTI認定プラクティショナーによる監修があるか。
  2. 組織的背景: Myers & Briggs財団との関連性や公認状況が明記されているか。
  3. 学術的根拠: 参考文献や研究成果が適切に引用されているか。
  4. 透明性: 診断方法や解釈の限界について正直に説明しているか。

実用的なチェックリスト

信頼できるMBTI診断サイトの条件を簡潔にまとめると:

✓ 質問数が60問以上ある
✓ Myers & Briggs財団またはその公認機関による認証がある
✓ 専門家による監修がある
✓ 認知機能(Cognitive Functions)について言及している
✓ 各指標の強度や傾向を詳細に分析している
✓ 結果の解釈に関する注意点や限界が明記されている
✓ 科学的研究や証拠に基づいた説明がある

この基準に基づいて診断サイトを評価することで、より信頼性の高いMBTI体験が可能になるでしょう。

まとめ:本物のMBTI診断で自己理解を深めるために

MBTIは単なる「性格診断」ではなく、自己理解と他者理解のための強力なツールです。本記事を通じて、16personalitiesのような一般的なサイトがオリジナルのMBTIとは異なること、そして本物のMBTI診断にアクセスする方法について理解いただけたと思います。

以下に、本記事のポイントをまとめます:

  1. 本物のMBTIとは: Myers & Briggs財団によって開発・管理される正式な性格診断システムであり、4つの二極性による16タイプの分類を特徴とします。
  2. 16personalitiesの位置づけ: MBTIに似た枠組みを使用していますが、独自のNERISモデルを採用しており、本来のMBTIとは理論的基盤が異なります。
  3. 公式診断へのアクセス: 日本MBTI協会など公式認定機関を通じて本物のMBTI診断を受けることができます。
  4. 無料診断と有料診断の比較: 無料診断は入門として価値がありますが、より深い自己理解のためには公式診断の精度と詳細さが有用です。

自己理解の旅は終わりのないプロセスです。MBTIはその道具の一つに過ぎませんが、適切に活用することで、自分自身の思考パターンや行動傾向への洞察を深め、より充実した人生選択や人間関係の構築に役立てることができます。

最も重要なのは、どのような診断結果であれ、それを「自分を制限するラベル」としてではなく、「自己成長のための出発点」として捉えることです。タイプは固定されたものではなく、人は常に成長し、変化する可能性を秘めています。

MBTI診断を通じて、あなた自身の可能性をより深く理解し、自分らしく輝く人生を築くための一助となれば幸いです。

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この記事を書いた人

DEEP JAPAN QUEST編集部は日本文化に関する総合情報メディアを運営するスペシャリスト集団です。DEEP JAPAN QUEST編集部は、リサーチャー・ライター・構成担当・編集担当・グロースハッカーから成り立っています。当サイトでは、日本文化全般に関わる記事を担当しています。

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