旭日旗の禁止が叫ばれるのはなぜ?法律の有無やサッカー会場での扱われ方

旭日旗の禁止が叫ばれるのはなぜ?法律の有無やサッカー会場での扱われ方

実のところ、旭日旗の使用は非常にセンシティブです。2020年の東京オリンピックでも、観客の一部が旭日旗を掲げて応援していたことが韓国政府で問題視されて話題となりました。しかしながら、そもそも、どうして「旭日旗を禁止すべき」という意見が存在するのでしょうか?

この記事では、「旭日旗の禁止が叫ばれるのはなぜか?」という疑問に言及しています。また、旭日旗の使用に関する法律の有無やサッカー会場での扱い方も紹介しているのっで、日本の国旗について知りたい人たちは参考にしてみてください。

目次

旭日旗とは?

旭日旗
旭日旗

旭日旗とは、日章旗と同様に太陽を意匠とする日本の象徴的な旗です。これまで国旗として使用された事実はありませんが、海上自衛隊の自衛艦旗や陸上自衛隊の連帯旗には、旭日旗が使用されています。これは、1954年に制定されて「自衛隊法施行令」に依拠しています。

旭日旗の禁止が叫ばれるのはなぜか?

さて、旭日旗の禁止が叫ばれるのは、どうしてなのでしょうか?

結論から言えば、旭日旗が過去の軍国主義を想起させるからだと言えます。特に、韓国では、旭日旗の使用が問題視されています。なかには、ナチス・ドイツを象徴する「ハーケンクロイツ」と同じような扱い方をする政治家もいるくらいです。

たしかに、19世紀以降、旧日本軍では、旭日旗が使用されていました。そのため、旭日旗の使用は帝国主義と軍国主義を美化する行為として捉える人たちもいるわけです。実際に、戦争の被害を受けた人たちを思えば、旭日旗がトラウマになるのは理解できます。

けれども、韓国側が旭日旗を否定するロジックには、違和感を持たざるを得ません。なぜなら、2022年に開催された国際観艦式で、韓国の国防部チョン・ハギュ氏が「自衛艦旗と旭日旗は多少の違いがある」と主張しており、この説明は繰り返し使われてきたという経緯があるからです。

25日、国防部のチョン・ハギュ報道官は今回の議論について「自衛艦旗と旭日旗は多少の違いがある」と述べました。

 国防部のこうした説明は初めてではありません。昨年11月、日本で開かれた国際観艦式に韓国海軍が参加し、旭日旗論争が起きたときも、韓国軍は「日本の自衛艦旗は旭日旗と形態が少し違う。形態が完全には一致しないので、我々は自衛艦旗と考える」と述べました。旭日旗は赤い円形の「日の丸」が中央に位置するのに対し、自衛艦旗では日の丸が左に寄っているから異なるということです。

ハンギョレ新聞『日本も認める「自衛艦旗は旭日旗」、韓国は否定…繰り返される論争、3つの質問』より引用(最終確認日:2024年3月19日)

はっきり言えば、旭日旗と自衛隊旗は誰がどう見ても同じデザインです。旭日旗を否定するならば、自衛隊旗も拒否されるべきです。それにもかかわらず、「日の丸がちょっと左に寄っているから認められる」というのは、あまりにも形式的すぎる理屈ではないでしょうか。

ただ、この違いが設けられていたことで、政治的に容認できる余白が生まれたことは、結果として双方にとって良いことだとも言えます。すなわち、日本と韓国の歴史的軋轢を強く意識している人たちとの間での妥協点が、この違いに見出されるわけです。その意味では、現状がベストとも言えるかもしれません。

韓国の政治家や学者が旭日旗を問題視し始めたのは、2011年からだと言われています。すなわち、元から議論されてきた軋轢ではないのです。

なお、日本政府は、旭日旗は決して特別な政治的主張を象徴しているわけではないという立場を取っています。具体的には、外務省HPには、旭日旗の使用について次のような見解が示されています。

旭日旗の意匠は日章旗同様、太陽をかたどっており、大漁旗や出産・節句の祝い旗等、日本国内で現在までも広く使用されているものであり、特定の政治的・差別的主張である等の指摘は当たらない。政府として、韓国を含め国際社会に向けて、旭日旗の掲示が政治的宣伝にならないという考えを累次の機会に説明しており、今後ともそうした説明を継続していきたいと考えている。

外務省『旭日旗』より引用(最終確認日:2024年3月19日)

旭日旗を禁止する法律はあるのか?

そもそも旭日旗を禁止する法律は存在するのでしょうか?

当然ながら、日本政府として旭日旗の使用を禁じる法律は存在しません。先述の通り、日本政府としては、旭日旗は伝統的に使用されてきた太陽を意匠とするデザインであり、特定の政治的立場を表明する意図はないという立場を明確にしています。そのため、自ら禁ずる理由もないわけです。

サッカーの応援で旭日旗は禁止されているのか?

また、サッカーの応援で旭日旗の使用は禁止されているのでしょうか?

実のところ、FIFA(国際サッカー連盟)が旭日旗を禁止しているという言説を見かけることがありますが、そのような事実はありません。厳密に言えば、FIFAは挑発的行為を禁じているだけで、旭日旗の使用を直接的に違反と見做しているわけではないのです。

しかしながら、カタール・ワールドカップW杯では、競技場関係者によって旭日旗が撤去されたことがありました。

一部の日本のファンは競技場で旭日旗を掲げようとした。しかし、競技場関係者によって旭日旗が撤去された。

中央日報『<W杯サッカー>旭日旗、競技場に掲げて撤去された…日本ファン、カタールで恥をかかせる』(最終確認日:2024年3月19日)

「何を持って挑発的行為に該当するのか?」と言えば、その判断は非常に難しいと言わざるを得ません。こればかりは意思決定の権限を持っている人たちの主観に左右されることです。ただ、旭日旗それ自体は数百年にわたって使用されている意匠で軍国主義を象徴するものではありません。

文化交流が国際平和の鍵になる

日本と韓国は政治でこそ対立する場面がフォーカスされますが、文化では交流が進んでいます。実際に、日本のアニメが好きな韓国人はたくさんいますし、韓国のアイドルを応援する日本人も存在します。その意味では、若者の間では国際平和の基盤となる友好関係は以前よりも豊かになっていると言えます。

「政治的軋轢」は国民感情が作り出すこともありますが、政治家や知識人がメディアという拡声器を使って捏造することもあります。実態を見極めるのは非常に難しいですが、少なくとも文化交流が国際平和の鍵になることは確かです。

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この記事を書いた人

DEEP JAPAN QUEST編集部は日本文化に関する総合情報メディアを運営するスペシャリスト集団です。DEEP JAPAN QUEST編集部は、リサーチャー・ライター・構成担当・編集担当・グロースハッカーから成り立っています。当サイトでは、日本文化全般に関わる記事を担当しています。

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