原爆資料館は吐き気がする?グロいと言われる理由や鑑賞時の注意点を解説

原爆資料館は吐き気がする?グロいと言われる理由や鑑賞時の注意点を解説

広島や長崎には、核兵器の脅威を現代人に伝えることを目的とした「原爆資料館」が存在します。教科書の内容だけではなく、現地で歴史の記録に触れることで当時の様子を学ぶことができるのは貴重な機会と言えるでしょう。

けれども、戦争とは無縁の生活を送っている人たちにとっては、戦争で傷を負った人たちの写真などは生々しいのも事実です。なかには、「具合が悪くなってしまうのではないか?」と心配している人たちもいるかもしれません。

この記事では、「原爆資料館は吐き気がするのか?」という疑問について考察しています。また、「グロい」と言われる理由や鑑賞する時のポイントも説明しているので、これから原爆資料館に訪問予定の人たちは参考にしてみてください。

目次

原爆資料館とは?

原爆資料館とは、1945年に広島と長崎に投下された原子力爆弾が残した被害を記録した展示を行なっている施設です。広島県の「広島平和記念資料館」と長崎の「長崎原爆資料館」の2拠点に存在します。詳細は公式HPをご確認ください。

言うまでもなく、世界で唯一、原子力爆弾が投下された地域です。その悲惨さを伝えるミッションを持っているのが「原爆資料館」なのです。

原爆資料館は吐き気がする?

さて、原爆資料館に行くと吐き気がするのは、本当なのでしょうか?

結論から言えば、原爆資料館に展示されている戦争の生々しい記録にショックを受けて、吐き気の症状が出る可能性はあります。特に、共感力の高い人たちは、残酷なシーンを見聞きするだけでも心理的なストレスを感じて、動悸やめまいなどの不調が生じるおそれがあるのです。

この現象は専門的に「二次受傷」と呼ばれています。すなわち、戦争をはじめとするグロテスクな映像を間接的に体験してトラウマ反応が起こることを意味しています。そのなかには、吐き気の症状も含まれているのです。

なお、歴史・平和教育における「二次受傷」について知りたい方は、立命館大学の村本邦子教授が執筆した『歴史・平和教育における「二次受傷」をどう考えるか─立命館大学国際平和ミュージアムにおける平和教育の現状と可能性』という論文を読んでみてください。

原爆資料館がグロいと言われる理由

それでは、原爆資料館が「グロい」と言われるのは、どうしてなのでしょうか?

その理由は、原爆で傷ついた人たちの生々しい記録が展示されていることにあると言ってよいでしょう。

現代の日本を生きる私たちは日常的に傷ついた人の生々しい姿を見る機会は少ないはずです。だからこそ、核兵器の影響で怪我をした人たちの写真に対して、「グロい」という感情を抱くのは不自然なことではありません。ある意味では、平和の世の中を生きている証拠とも考えられるでしょう。

実際に、原爆資料館では、爆撃の影響で皮膚を火傷した人たちのイラストや爆心地の様子も記録として展示されています。なかには、被曝者から生えてきた「黒い爪」など身体の一部を実物で閲覧することが可能です。やはり、実物にはインパクトがありますから、ショックを受けるのも十分に理解できます。

それだけ、原爆が残酷で恐ろしいものであることを物語っているとも言えます。

鑑賞時の注意

原爆資料館を訪れる際の注意点には、個人の準備、心構え、館内でのマナー、そして訪問後の対応など、さまざまな側面があります。以下に詳しくまとめました。

事前の準備

  1. 調査と理解:訪問前に、広島・長崎の歴史や原爆の基本知識について学んでおくと、資料館での理解が深まります。背景知識があると展示物の意味や意義がより明確になります。
  2. 時間の確保:資料館の展示は多岐にわたります。じっくりと時間をかけて見ることをお勧めします。少なくとも数時間は確保しておくと良いでしょう。

心構え

  1. 感情の準備:原爆資料館の展示は非常にショッキングな内容を含んでいます。被爆者の遺品や写真、映像などは強い感情を引き起こす可能性があります。精神的に準備をしておくことが大切です。
  2. 尊敬と敬意:展示物は多くの人々の命や生活に関わるものです。すべての展示に対して敬意を払い、真摯な気持ちで臨むことが求められます。

館内でのマナー

  1. 静粛を保つ:館内では静かにすることが求められます。展示物や説明文を読む際、周囲の人々の邪魔にならないよう心掛けましょう。
  2. 写真撮影の制限:多くの原爆資料館では写真撮影が禁止されています。事前に撮影可能エリアを確認し、ルールに従いましょう。
  3. 展示物に触れない:展示物は非常に貴重で、壊れやすいものも多いです。展示物には決して触れないようにしてください。
  4. 電子機器の使用:スマートフォンやカメラの使用は控え、展示に集中することが重要です。また、他の来館者の邪魔にならないよう、電子機器の音は必ず消しておきましょう。

訪問後の対応

  1. 感想や思いを共有する:訪問後は、感じたことや学んだことを家族や友人と共有することが大切です。これにより、平和の大切さや歴史の教訓を広めることができます。
  2. 平和活動への参加:原爆資料館で得た知識や感情をもとに、平和活動や反核運動に参加することを検討してみてください。小さな行動でも平和の実現に向けた一歩となります。

特別な配慮

  1. 子供や若者への配慮:子供や若者にとっては特にショッキングな展示が多いです。事前にどの展示を見るかを検討し、適切な解説を行うことで理解を助けることができます。
  2. 身体的・精神的負担:感情的に強い影響を受ける可能性があるため、適度な休憩を取りながら見学することが推奨されます。身体的な負担を感じた場合は無理をせず、適宜休むようにしましょう。

原爆資料館は、戦争の悲惨さや平和の重要性を伝える重要な施設です。訪れる際には、これらの注意点を守り、心からの敬意を持って見学することが大切です。

戦争を繰り返していけない

原爆は一瞬にして数万人規模の命を葬り去りました。当時を生きた人たち以外に、悲惨な光景をリアリティを持って感じることはできないかもしれませんが、現代人が思わず目を背けたくなるほど残酷な状況が広がっていたのです。

戦争を繰り返すことは、その恐ろしい日々の始まりを意味しています。「殺人」が許される状況では、人間の倫理観は崩壊し、強姦や窃盗など、あらゆる犯罪が発生する可能性もあります。そして、知らず知らずのうちに、憎悪の感情が生み出されていくのです。だからこそ、私たちは絶対に戦争を繰り返してはいけないのです。

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この記事を書いた人

DEEP JAPAN QUEST編集部は日本文化に関する総合情報メディアを運営するスペシャリスト集団です。DEEP JAPAN QUEST編集部は、リサーチャー・ライター・構成担当・編集担当・グロースハッカーから成り立っています。当サイトでは、日本文化全般に関わる記事を担当しています。

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