恵比寿神社に行ってはいけない噂の真相|怖いと誤解されるのはなぜ?

恵比寿神社に行ってはいけない噂の真相|怖いと誤解されるのはなぜ?
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インターネット上で「恵比寿神社 怖い」「恵比寿神社に行ってはいけない」という検索ワードが増加しています。七福神の一柱である恵比寿様を祀る由緒ある神社が、なぜこのような噂の対象になっているのでしょうか。

本記事では、恵比寿神社にまつわる誤った情報を検証し、地域に愛される神社の真の姿と魅力を紹介します。実際には商売繁盛や家内安全など多くのご利益があり、地元の人々に大切にされている恵比寿神社について、歴史や文化的背景を踏まえながら解説していきます。

恵比寿神社の概要

恵比寿神社は、七福神の一角である恵比寿様を祀る神社です。特に東京の恵比寿地区には、多くの人が知らない「二つの恵比寿神社」が存在しています。一つは恵比寿駅近くの路地奥にある神社で、もう一つは恵比寿ガーデンプレイス内にある神社です。

恵比寿駅近くの神社は、元々「天津神社」と呼ばれていました。その歴史は古墳時代にまで遡り、戦後の区画整理の際にヱビスビールに因んで「恵比寿神社」と改名されたと言われています。この神社はヤマトタケルによって建立されたという伝承もあり、小さいながらも特別な雰囲気を持っています。

一方、恵比寿ガーデンプレイス内の恵比寿神社は、サッポロビール株式会社の前身である大日本麦酒株式会社の時代に建立されました。鳥居の扁額は、ビールを思わせる深い琥珀色に輝いており、サッポロビールのブランドであるヱビスビールのシンボル、鯛を担いだ「恵比寿様」が祀られています。

恵比寿様の由来には、実は複数の説があります。一つ目は「蛭子説」で、イザナギとイザナミの不具の子として生まれたヒルコ神が流され、西宮に辿り着いたというもの。二つ目は「事代主神説」で、大国主命の子である事代主神が恵比寿様の由来とされています。その他にも「山幸彦説」や「少彦名命説」など、様々な解釈が存在します。

恵比寿神社に行ってはいけない噂の真相

「恵比寿神社に行ってはいけない」という噂は、実は事実とは異なる情報に基づいています。この噂が広まったきっかけの一つとして、恵比寿新聞が指摘しているのは、インターネット上に存在する「行ってはいけない神社ランキング」などのサイトです。

こうしたサイトでは、恵比寿神社が「近年では清掃がされておらず寂れた雰囲気が漂っている」などと記載され、ランキングの4位に位置づけられていることがありますが、これは事実と異なります。実際の恵比寿神社は、地域の人々によってきちんと手入れされており、通勤時に立ち寄る人々や夜間のライトアップによって、それなりの活気に満ちています。

Twitterでも「恵比寿神社 怖い」という検索ワードでアクセスする人が増えていますが、実際のツイートを見ると「恵比寿神社は怖い場所ではなく、地元の人々に愛されている神社」という投稿が目立ちます。

このように、「恵比寿神社に行ってはいけない」という情報は、事実に基づかない噂に過ぎないことがわかります。むしろ恵比寿神社は、都市の喧騒から離れた静かな憩いの場として、多くの人に親しまれています。

恵比寿神社が怖いと誤解される理由

それでは、どうして恵比寿神社が怖いと誤解されるようになったのでしょうか?

理由1:インターネット上での誤情報の拡散

恵比寿神社が「怖い」と誤解される最大の理由は、インターネット上での誤情報の拡散です。「行ってはいけない神社ランキング」などのウェブサイトでは、恵比寿神社が4位にランクインしているという情報が掲載されていることがあります。

しかし、こうした情報の多くは事実確認がなされておらず、クリックを集めるための誇張された内容であることがほとんどです。

SNSの普及により、こうした不確かな情報が瞬く間に拡散され、神社に関する誤ったイメージが形成されやすくなっています。恵比寿新聞がツイッターで指摘しているように、「恵比寿神社には行ってはいけない」という内容は事実とは異なっているのです。

理由2:恵比寿様の神話的背景の誤解

恵比寿様の由来には複数の説がありますが、その一つである「蛭子説」が誤解を招いている可能性があります。この説によれば、恵比寿様はイザナギとイザナミの婚約の際の不手際によって、手と足がない蛭(ヒル)のような姿で生まれる不具の子として誕生し、船に乗せて海に流されたとされています。

この神話的背景が、現代の感覚では「不吉」や「怖い」というイメージと結びつけられることがあります。しかし実際には、この蛭子神は鳴尾浜から神戸の沖合に流れ着き、西宮神社のご祭神となり、恵比寿信仰と習合して現在私たちが知る恵比寿様になったという、むしろ救済と再生の物語なのです。

理由3:都市伝説的要素の付与

現代社会では、パワースポットや神秘的な場所への関心が高まる一方で、その裏返しとして「行ってはいけない場所」「怖い場所」といった都市伝説が生まれやすい傾向があります。恵比寿神社も、その名前の響きや立地の特徴から、こうした都市伝説の対象になってしまったと考えられます。

特に、恵比寿ガーデンプレイス内の恵比寿神社は、「神社は生垣の奥に隠れるように祀られています。参道はカクカクと曲がり、『本当にこの奥に神社があるのか?』と疑問を抱くような配置」6という特徴があり、このような空間的特性が神秘性や不気味さを感じさせる要因になっている可能性があります。

知られざる恵比寿神社の魅力

その1:二つの個性際立つ恵比寿神社

繰り返しになりますが、東京の恵比寿地区には二つの恵比寿神社があり、それぞれが異なる魅力を持っています。

恵比寿駅近くの路地奥にある恵比寿神社は、古墳時代から歴史を紡ぐ由緒ある神社です。元々「天津神社」という名で親しまれていましたが、戦後に恵比寿神社と改名されました。この神社は小さな楕円形の敷地ながらも、いつも多くの参拝客でにぎわっています。拝殿は石造りで、これはなかなか珍しい特徴と言われています。

一方、恵比寿ガーデンプレイス内にある恵比寿神社は、サッポロビール株式会社の前身によって建立されたものです。鳥居の扁額が深い琥珀色に輝き、まるでビールの色合いのようだという特徴があります。この神社は生垣の奥に隠れるように祀られており、参道もカクカクと曲がった独特の配置になっています。

このように、同じ「恵比寿神社」でも、それぞれが全く異なる歴史と雰囲気を持っており、両方を訪れることで恵比寿という地域の多層的な歴史と文化を感じることができます。

その2:地域に根ざした祭りとイベント

恵比寿神社では、様々な祭りやイベントが開催され、地域コミュニティの中心的な役割を果たしています。特に注目すべきは、毎年10月に恵比寿神社で開催される「べったら市」です。

この市は「えびす講」とも呼ばれ、恵比寿様への感謝を表す催しとなっています。10月は「神無月」として知られ、多くの神様が出雲大社に集まる中、恵比寿様は留守を守るとされています。

この期間中、恵比寿商店街では手書きの御朱印が限定で提供されるほか、バナナ売りやストリートパフォーマンスが人気を博し、金運アップとされる現金が当たる抽選会も開かれます。地域住民だけでなく、観光客にとっても魅力的なイベントとなっています。

その3:ユニークな御朱印や縁起物

恵比寿神社では、様々なユニークな御朱印や縁起物が提供されており、コレクターや参拝者に人気です。

特に注目すべきは「鯛みくじ」です。これは陶器で作られた鯛がおみくじを抱えているようにデザインされたおみくじで、恵比寿様の総本山である西宮神社から特別に授与されているものです。このおみくじには、大吉の上である「大福」というものがあり、当たった人は非常にラッキーとされています。

また、五穀豊穣、すなわち豊かさを授けてくれる恵比寿神社らしく、金色で恵比寿様がデザインされた御朱印帳も人気です。青海波や鳥居などたくさんの縁起物が描かれていて、いかにもご利益たっぷりな雰囲気を醸し出しています7

さらに、京都のゑびす神社では「商売繁盛の笹」という、節目を正しく真直ぐに伸びる竹の葉を模した御札が授与されており、これは繁栄と長寿を象徴するものとして日本全国で広く親しまれています。

恵比寿神社にご利益はあるの?

恵比寿神社には、様々なご利益があるとされています。主な恵比寿神社のご利益としては、以下のようなものが挙げられます:

  • 商売繁盛
  • 五穀豊穣
  • 家内安全
  • 無病息災
  • 金運上昇
  • 縁結び

特に「商売繁盛」「金運向上」といった、商業に関わるご利益が有名です。商人やビジネスマンが訪れ、日々の仕事の成功や繁栄を願う場所として定着しています。金運向上のためには、お正月にだけ手に入る特別な金色のお守り「商売繁昌守り」があり、その年の経済的繁栄を促すと言われています。

また、ビジネス成功を望む人々には「商売繁盛札」も好評で、金色の小判を模した装飾が付いたお札が特徴です。このお札を神棚に納める際は、南または東を向くようにし、視線よりも高い位置に置くことが推奨されています。このような細かな作法も、恵比寿信仰の一部として受け継がれています。

なお、恵美須神社(広島県)では、漁師の神様としても信仰されており、豊漁と航海安全のご利益があるとされています。右手に釣竿を持ち、左手に鯛を持っている姿がよく描かれているのは、この漁業との関連からです。

まとめ:噂に踊らされてはいけない

「恵比寿神社に行ってはいけない」「恵比寿神社は怖い」という噂は、事実とは異なる情報に基づいたものであることがわかりました。実際の恵比寿神社は、地域の人々によってきちんと手入れされており、多くの参拝客でにぎわう活気ある神社です。

恵比寿神社が怖いと誤解される背景には、インターネット上での誤情報の拡散、恵比寿様の神話的背景の誤解、都市伝説的要素の付与といった要因があります。しかし、これらは事実に基づかない噂に過ぎません。

東京の恵比寿には、駅近くの路地奥の神社と恵比寿ガーデンプレイス内の神社という二つの恵比寿神社があり、それぞれが異なる魅力を持っています。地域に根ざした祭りやイベント、ユニークな御朱印や縁起物など、知られざる魅力も数多くあります。

恵比寿神社のご利益には、商売繁盛、五穀豊穣、家内安全、無病息災、金運上昇、縁結びなどがあり、多くの人々が様々な願いを込めて参拝しています。

ネット上の噂や誤情報に惑わされることなく、実際に足を運び、自分の目で見て感じることが大切です。恵比寿神社は怖い場所ではなく、むしろ都市の喧騒から離れた静かな憩いの場として、また商売繁盛などを願う場所として、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

恵比寿という地名の由来にもなった恵比寿神社の歴史と文化を理解し、正しい情報を基に、日本の伝統的な信仰を尊重する姿勢が今後も求められています。

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