格式高い家紋4選|偉い順の有無やヨーロッパとの違いを考察

格式高い家紋4選|偉い順の有無やヨーロッパとの違いを考察

今となってはほとんど目にすることはありませんが、日本では、自分の一族を象徴する家紋が文化として定着していました。貴族や武士はもちろん、一般庶民でも家紋を持っていたことから、その数はデザインの細かな分類を含めると30,000種類以上あると言われています。

そのなかでも、特に「格式の高い家紋」と言えば、一体何なのでしょうか?

この記事では、格式高い家紋についてまとめています。また、「家紋の偉い順が存在するのか?」といった疑問やヨーロッパの紋章文化との違いにも言及しているので、日本の歴史に興味のある人たちは参考にしてみてください。

目次

格式高い家紋4選

さて、格式の高い家紋と言えば、具体的にどのようなものなのでしょうか?

ここでは、歴史的な権威を持っている家紋を4つ紹介していきます。

その1 菊花紋

第1に、天皇家が使用している「菊花紋」は日本で最も格式高い家紋であると考えられます。「十六八重表菊」とも呼ばれています。

鎌倉時代に後鳥羽上皇が菊を好んで紋章として愛用していたことが発端と言われています。その後、深草天皇や亀山天皇に継承されて、皇室のマークとして定着しました。天皇よりも将軍に力があった江戸時代は庶民でも使用自由になりましたが、再び天皇が権威付けられる明治期には使えなくなりました。

厳密に言えば、菊花紋は「家紋」というよりも「紋章」と呼ぶべきものですが、国内で格式の高い代表的なトレードマークなのです。

その1 菊花紋

その2 桐紋

第2に、桐紋もまた権威のある家紋であると言ってよいでしょう

菊花紋と同様に、鎌倉時代に桐紋は天皇家が着用する衣服にあしらわれていました。そこから、「桐紋=皇室」というイメージが定着し、他の家紋とは次元の異なる地位を確立しています。以上のことからも、格式の高い家紋であると考えられるわけです。

具体的には、「五七の桐」という名称で今日に至るまで親しまれています。日本政府の象徴的な紋章として桐紋が採用されています。現代でも権威ある紋章なわけです。身近な例で言えば、五百円玉にも使われているので、見たことのある人たちもいるでしょう。

その2 桐紋

その3 牡丹紋

第3に、天皇家に仕えていた摂家が使用する「牡丹紋」もまた格式の高い家紋であると考えられます

元々、牡丹は聖武天皇の時代に中国から輸入されました。中国では、牡丹は「花の王」と尊ばれており、富貴の象徴として「百花王」や「富貴花」という別名もあるくらい、権威的な花なのです。

具体的には、公家の近衛家が牡丹紋も使用しており、江戸時代では菊、桐、葵の紋についで権威があったと言われています。今日では、「貴族」という立場が存在しているわけではありませんが、皇室に関わる仕事は健在であり、牡丹に関する紋章を使っている人たちもいるのです。

その3 牡丹紋

その4 葵紋

第4に、徳川家が使っている「葵紋」もまた格式高い家紋であると言えます

歴史ドラマ『水戸黄門』を見たことがある人ならわかるかもしれませんが、徳川家の権威を象徴する「葵紋」を「この紋所が目に入らぬか!」と掲げることで武士や百姓たちがひれ伏すシーンがあります。

事実、江戸幕府として天下を統一した徳川家の威光を示す葵紋には、絶大たる力がありました。そのため、無断使用をはじめ粗末に扱うことも戒められていたのです。葵紋を理由なく使った人が厳罰に処せられたという事例もあるくらいです。

まさに、織田信長や豊臣秀吉を差し置いて、日本の政治的中心を長きにわたって担った徳川家の家紋は、その他のものとは一線を画した存在だったと言えます。

その4 葵紋

家紋に偉い順は存在するのか?

なお、家紋に身分の上下関係を示すような偉い順は存在するのでしょうか?

結論から言うと、家紋は身分の違いを示すというよりも、一族のアイデンティティを表現するものとして用いられているため、コンセプト的には偉い順は存在しません。

とはいえ、天皇や過去の征夷大将軍が使っていた家紋は、やはり特別な立ち位置になると言ってよいでしょう。すなわち、家紋それ自体に序列が設けられていなかったとしても、それを使用する人が偉ければ、家紋もまた厳格なものになるのは必定なのです。

ヨーロッパの紋章文化との違いは何なのか?

一方で、ヨーロッパにも家紋と似た紋章の文化が定着していました。

けれども、日本の家紋とは違って、ヨーロッパの紋章には、厳格な序列関係があります。そもそも、紋章は権威を象徴するためのものですから、家紋のように一般庶民が用いることはなかったのです。

その意味では、ヨーロッパ社会における王族や貴族を示す紋章と家紋の文化は質的に異なります。

なお、ヨーロッパの紋章について詳しく知りたい方は以下の記事を参照してください。

自分の家紋を調べてみよう

日本で暮らす人たちは必ず何らかの家紋を持っていると考えられます。今ではほとんど見る機会がありませんが、もしかしたら自分の一族が由緒正しい家紋を使っていた可能性があるかもしれません。先祖のルーツを知ることで歴史を自分ごとのように感じられて面白くなるはずです。

これを機会に一度、自分の家紋を調べてみください。その方法について興味のある人たちは以下の記事を読むことをおすすめします。調査会社に依頼するという手段もありますが、図書館やネットでも家紋を調べられる時代ですから、気になる方は自分の家紋に関する情報を探してみてください。

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この記事を書いた人

DEEP JAPAN QUEST編集部は日本文化に関する総合情報メディアを運営するスペシャリスト集団です。DEEP JAPAN QUEST編集部は、リサーチャー・ライター・構成担当・編集担当・グロースハッカーから成り立っています。当サイトでは、日本文化全般に関わる記事を担当しています。

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