御朱印帳は単なる参拝記念ではなく、死後の世界でも重要な意味を持つとされています。多くの人が趣味として集めている御朱印帳ですが、最終的な処分方法や死後の扱いに悩む方も少なくありません。
特に注目すべきは、古来より伝わる「御朱印帳を棺に入れると閻魔様の裁きの際に役立つ」という言い伝えです。
本記事では、御朱印帳の死後の意味や処分方法について、宗教的背景や現代的視点から詳しく解説します。様々な選択肢を理解し、自分自身や家族の御朱印帳をどう扱うべきか、その答えを見つける手助けになれば幸いです。
御朱印帳は死後に意味がある?
御朱印帳は単なる参拝の記録を超えた、深い宗教的意味を持つと考えられています。その価値は現世だけでなく、死後の世界にまで及ぶという特徴があります。
日本の仏教的な死生観によれば、人は死後、十人の王(十王)に順に裁かれ、最終的には閻魔大王によって極楽浄土と地獄のどちらに送られるかが決定されるとされています。この重要な場面で、生前に集めた御朱印帳が特別な役割を果たすという信仰があります。
「ご朱印の文字は真言であり、本尊そのものを梵字で表したとてもありがたいものなのですよ。これは功徳を積んだ証でもありますから、ご朱印帳は末長く大切にし、ご家族に残すもよし、いずれご自分が現世を離れる時にはお棺に入れてもらうと、閻魔さまのお裁きの時にあなたを守るミラクルパスポートになるかもしれません」。

この言い伝えは、御朱印帳を単に趣味で集めるものではなく、死後の世界への重要な「パスポート」として捉える視点を提供しています。現代においても、多くの寺社では御朱印帳の死後における霊的意義が語り継がれています。例えば、大地獄絵の特別公開における絵解説法では、閻魔様の裁判を受ける場面で、生前の仏様へのお仕えを認めてもらうために御朱印帳を見せることが描かれています。
また、別の視点として「授かった御朱印は故人のお棺に納めていいのですよ。一緒に火葬する事で頂いた神社仏閣の神様や仏様にあちらの世界に到着するまで護って頂けるのです。もしかしたら生まれ変わるまで護ってくれるかもしれません」という考え方もあります。
これらの伝承は、御朱印帳が持つ宗教的な力を示しており、単なる記念品ではなく、現世と来世をつなぐ霊的なツールとしての役割を持っていることを物語っています。ただし、これらの信仰は絶対的なものではなく、宗派や個人の価値観によって解釈が異なる点には注意が必要です。
親が死んだ時に棺桶に入れたほうがよいのか?
親や家族が亡くなった際に御朱印帳を棺に入れるかどうかは、宗教的な側面だけでなく、実務的・感情的な面からも考慮する必要があります。
御朱印帳の扱いを決める際に最も重視すべきは、故人自身の意思です。「直葬での葬儀でお手伝いした際に、御朱印帳を棺桶に一緒に入れて欲しいと、喪主様よりお預りしました。御朱印帳は自分が死んだときに必ず棺桶に入れて欲しいとの故人の遺言とのことでした」という事例があります。
こうした遺言やかねてからの希望がある場合は、それを尊重することが何よりも大切です。一方で、神社仏閣に関心がなかった故人の場合は、別の思い出の品を選ぶ方が適切かもしれません。「神社仏閣が好きじゃない故人のお棺には入れない方がいいです。最期は思い出の品、好きな物に囲まれたいですものね」という視点も忘れてはなりません。
御朱印帳を棺に入れる際の方法にもいくつかのバリエーションがあります。蛇腹式の御朱印帳であれば、「故人様を囲むように、頭から足下を一周し棺桶の側面に広げて納めさせていただきました」という工夫ができます。
一方で、完全に燃え切らない可能性がある表紙やカバーについては配慮が必要です。「表紙やカバーは燃え残る可能性もあるので、それ以外の部分(御朱印を書いてもらってる部分)のみを棺桶にいれることになります」という方法が推奨されています。
宗派による考え方の違いを理解する
御朱印帳を棺に入れることに関する考え方は、宗派や地域によって異なる場合があります。「宗派によって違うかもしれませんし、宗派が同じでもご住職によって考え方は違うかもしれません。違う宗派のご主題は入れない方がいいと言われるかもしれないし、神社の御朱印は入れない方がいいと言われるかもしれない」という点に注意が必要です。
不安がある場合は、故人がお世話になっていたお寺の住職に相談するのが最善です。自分自身の御朱印帳についても、所属する宗派の考えを確認しておくと、将来の混乱を避けることができるでしょう。
現代では直葬や小規模な葬儀が増えていますが、そのような形態でも御朱印帳を棺に納めることは可能です。「火葬場内の霊安室でお別れする火葬プランをご提案しております。霊安室でのお別れの際に、御朱印帳などをお棺の中に入れていただくここともできますのでご安心下さい」という対応が一般的になっています。
シンプルな葬儀を希望する場合でも、故人の思いや遺品の扱いについては事前に葬儀社に相談することで、適切に対応してもらえるでしょう。
御朱印帳は最後どうするのが正解なのか?
御朱印帳の最終的な処理方法に「唯一の正解」はなく、それぞれの状況や価値観に合わせた選択が重要です。ここでは主な選択肢とそれぞれのメリット・デメリットを検討します。
最も伝統的な方法として、御朱印帳を棺に入れるという選択があります。これは「死後、十人の王に裁かれ、最後は閻魔大王によって極楽浄土と地獄、どちらに送られるかを裁かれるとされています。その時に、この御朱印帳を見せるとその功徳を閻魔大王がお認めになり、極楽浄土へ送ってくださる」4という信仰に基づいています。
この方法のメリットは、宗教的な安心感を得られることと、家族が処分に悩む必要がなくなることです。一方で、多数の御朱印帳がある場合はすべてを棺に入れることが物理的に難しいという課題があります。また、素材によっては完全に燃え切らない部分があるため、その処理方法を考慮する必要があります。
御朱印帳を家族の形見として残すという選択肢もあります。「御朱印帳は末長く大切にし、ご家族に残すもよし」という考え方です。また「御朱印帳は棺桶に入れずに大切に残す方もいらっしゃいます。その残された御朱印帳を見て、故人を偲ぶのもよいでしょう。またこの御朱印帳を見た方が、これを機に朱印集めをされるきっかけになるかもしてません」という効果も期待できます。
この方法のメリットは、故人との思い出や信仰の証として形に残すことができる点です。一方で、保管スペースが必要になることや、次世代が興味を持たない場合には結局処分問題が先送りになるだけというデメリットもあります。
近年注目されているのが、神社やお寺での「お焚き上げ」という選択肢です。「やむおえない事情で御朱印帳を生前に処分する場合、ゴミとして捨てるのに抵抗がある、という方には、神社・お寺で供養お焚き上げしていただく方法がおすすめです」。
お焚き上げは、「遺品や思い入れのある品を神社・お寺で供養し、火で燃やすことで天にお還しする宗教儀式」であり、御朱印帳を丁寧に処分する方法として適しています。最近では「近くにお焚き上げを依頼できる神社・お寺がない」場合にも利用できる郵送サービスも登場しています。費用は「1冊あたり2,000〜5,000円。数冊ある場合、5,000〜1万円が相場」とされています。

生前の意思表示と終活としての準備
どの処分方法を選ぶにせよ、「もしかしたら生まれ変わるまで護ってくれて、なんなら生まれた時から沢山の神様や仏様が守護霊としてついてくれる可能性もある」考える人もいるため、生前に自分の意思を明確にしておくことが重要です。
「希望する人は、もしものときは御朱印帳を棺にいれてほしいと家族に伝えておくか、書面を残しておきましょう。そうしないと、残された家族が処分に困るケースもでてきます」という助言は非常に価値があります。現代の終活の一環として、御朱印帳の扱いについても計画しておくことが、家族の負担を減らすことにつながります。
まとめ:厳格なルールはない
御朱印帳の死後の扱いや最終的な処分方法について、重要なポイントをまとめます。
御朱印帳の処分方法に関して、絶対的な正解や厳格なルールは存在しません。「結論的には御朱印帳は棺桶に入れても入れなくてもどちらでも問題はありません」という柔軟な姿勢が一般的です。最も重要なのは、御朱印帳の持ち主の信仰と意思を尊重することでしょう。
「大事なのは、決めつけずに話し合うこと。そして自分の希望を第一に伝えましょう」という姿勢は、御朱印帳の処分を考える際の基本的な心構えとして大切です。生前に自分の意向を家族に伝えておくことで、将来の混乱や悩みを防ぐことができます。