INFP-Tとは、MBTI(マイヤーズ・ブリッグス性格診断)において特に繊細で内向的な性格タイプの一つとして知られています。実のところ、理想主義的で感受性が強く、深い共感能力を持つことから、多くの人にとって魅力的な存在である一方で、ネットやSNSを中心に「INFP-Tはやばい」という評価や誤解も少なくありません。
実際、INFP-Tの人たちはその感受性の高さゆえに、生きづらさを感じたり、他者とのコミュニケーションに苦労したりすることもあります。
しかし、こうした特徴が必ずしもネガティブであるとは限りません。本記事では、INFP-Tが実際どのくらい「やばい」のかを冷静に分析しつつ、その魅力的な特性やよくある誤解について丁寧に考察していきます。まずは、INFP-Tという性格タイプの基本的な特徴を理解することから始めてみましょう。
INFP-Tとは?
INFP-T(内向的・直観的・感情的・知覚的 – Turbulent)とは、MBTIの16種類の性格タイプの一つであり、「仲介者」とも呼ばれます。内向的(Introversion)、直観的(Intuition)、感情的(Feeling)、知覚的(Perceiving)という4つの特性に、「動揺しやすさ(Turbulent)」を加えたタイプです。
INFP-Tタイプの人は、感受性が非常に高く、他者の感情に強く共感できる優れた共感力を持っています。また、内面的な世界に深く入り込む傾向があり、空想や理想を追求することが多いでしょう。
一方で、INFP-Tタイプはストレスやプレッシャーに弱く、不安や自信のなさを感じやすい傾向があります。そのため、自分の価値観や理想が他者に理解されない場合、深く傷ついたり、自信を失ったりすることも珍しくありません。
また、同じINFPタイプでも、INFP-A(Assertive)と比較すると、INFP-Tは感情の浮き沈みが激しく、より繊細で自己批判的な傾向があります。この違いから、INFP-Tは自己理解と周囲との関係においてより深刻な課題を抱えることが多いとされています。
INFP-Tが「やばい」と言われる3つの理由
とはいえ、INFP-Tがやばいとまで言われるのは、どうしてなのでしょうか?
ここでは、3つの視点から理由を考察します。
理由1 感情の起伏が激しい
INFP-Tタイプは非常に繊細で共感力が高いため、他人の感情や状況に過剰に反応しやすい傾向があります。例えば、誰かが悲しい出来事に直面した場合、自分自身がその感情を強く受け取って深く落ち込んでしまったり、逆に他人が喜びを感じている時には一緒に興奮したりします。このような感情の共鳴が日常的に起こるため、外からは感情の起伏が激しく見え、不安定に映ることがあります。
また、自分の内面的な感情や理想を守ろうとする気持ちが強すぎるあまり、外部からの評価や批判に敏感に反応し、深く傷つきやすい傾向があります。その結果、一日の中で頻繁に感情のアップダウンが生じ、周囲には情緒が安定しないと見られてしまうことがあります。
理由2 コミュニケーションが難しい
INFP-Tは内向的な性格ゆえ、自分の考えや感情を即座に言語化して伝えるのが苦手な場合があります。思考が深いため、返答に時間をかけてじっくり考える傾向があり、そのために会話のテンポが遅くなったり、相手の期待するスピードで話を進めることが難しかったりします。
また、自分の感情や考えを正確に表現しようと努力するあまり、言葉を慎重に選ぶため、周囲からは「何を考えているのかわからない」「掴みどころがない」と感じられることがあります。さらに、自分の内面世界を共有するのにためらいを感じることも多く、結果として周囲との距離が生まれやすく、誤解されやすい状況を招いてしまいます。
理由3 ネガティブ思考に陥りやすい
INFP-Tタイプは非常に理想主義的で、自分自身や周囲に対して高い理想を持つことがあります。そのため、理想と現実のギャップを感じた際に、「自分がダメだ」「何もできない」といった自己否定的な考えが強まり、自己肯定感が低下しやすいです。
また、物事を深く考えすぎる傾向があるため、小さな失敗や批判を受けると、その出来事を繰り返し思い返し、自分自身を責めてしまうことがあります。このような自己批判が繰り返されることで、次第にネガティブな思考パターンが定着し、精神的に追い詰められてしまうことも少なくありません。これらが周囲から見ると、ネガティブで不安定な印象につながってしまうのです。
INFP-Tの魅力と強みとは?
INFP-Tタイプには、他の性格タイプには見られない多くの魅力と強みがあります。その特徴は時に「やばい」と誤解されることもありますが、本質的にはとてもポジティブで価値あるものです。ここでは、その魅力と強みを具体的に見ていきましょう。
その1 共感力が非常に高くて周囲を癒す
INFP-Tタイプは非常に繊細で感受性が強いため、他者の気持ちに深く共感できるという特性を持っています。この共感力のおかげで、友人や家族、同僚など周囲の人が困難や苦難に直面した際には、そっと寄り添い、心の支えになれることがよくあります。また、人々が気づかない微妙な感情の変化にも敏感に気づき、細やかな配慮を自然と行えることから、多くの人に癒しや安心感を与える存在となります。
その2 創造性や独創性に優れている
新しいアイデアを生み出せる INFP-Tタイプの人は、独自の豊かな内面世界を持ち、深い洞察力や創造性に富んでいます。そのため、芸術や文学、音楽などの分野で高い能力を発揮することが多く、オリジナリティにあふれた作品やアイデアを生み出すことができます。既存の枠組みに囚われず自由な発想を好むため、革新的な視点や斬新なアイデアを提案し、仕事や趣味、社会活動などで周囲に新たな刺激や影響を与えることが多くあります。
その3 理想主義的で強い倫理観を持っている
INFP-Tタイプは理想主義者であり、自分自身や世界に対して明確な理想や価値観を持っています。この理想を追求する姿勢は、社会的な不正や不平等を見過ごせない強い倫理観につながります。INFP-Tタイプは、自分が正しいと感じたことに対して熱意を持って取り組み、社会貢献活動やボランティア、芸術活動などを通じて、社会にプラスの影響を与えることができるでしょう。
本質を深く探求することで、真の理解と洞察を得られる INFP-Tタイプは物事を深く考え、表面的ではなく本質的な理解を追求する傾向があります。このため、一つのテーマや問題に対してじっくりと向き合い、その奥にある真実や意味を掴もうとします。
この姿勢は、哲学的、心理学的な洞察や深い理解を可能にし、問題解決や人間関係において優れた洞察を提供することができます。時間をかけて得られた深い理解力は、自身や周囲の人々の成長や問題解決に大きく役立つでしょう。
INFP-Tの性格が誤解されやすい理由
INFP-Tタイプの人は、その特異な性格ゆえに誤解されやすいことがあります。ここでは、INFP-Tがなぜ誤解されるのか、その主な理由を3つ、詳しく考察していきます。
その1 何を考えているかわからない
内向的で控えめな態度が「何を考えているかわからない」と誤解される INFP-Tタイプは、自分の考えや感情を言葉にするのが苦手なことがあります。外向的な人に比べて発言が少なく、思考をじっくりと自分の中で巡らせるため、表情や態度が控えめになりがちです。
この控えめな態度や沈黙が、「興味がない」「無関心である」と周囲に誤解されてしまうことがあります。実際には、INFP-Tは非常に豊かで複雑な内面を持ち、深い思考をしているにもかかわらず、それが周囲に伝わりにくいため、誤解されることが多いのです。
その2 感情を言葉で表現するのが難しい
感情を言葉で表現するのが苦手であるため INFP-Tタイプは自分の感情を内側で深く味わい、他者に伝える時に適切な言葉を見つけることが難しいと感じる場合があります。したがって、強い感情を感じている時ほど口数が少なくなったり、上手く感情を表現できずに誤解を招いてしまったりします。
例えば、悲しい出来事に直面した時に黙り込んでしまうと、「何を考えているかわからない」「関わりにくい」といった印象を与えてしまいがちです。実際は、心の中で深く感じ、相手を傷つけないよう慎重に言葉を選んでいるだけなのですが、その意図が伝わりにくく誤解されることが多いのです。
その3 理想主義的すぎて現実離れしている
INFP-Tは理想主義者として知られており、自分の中に明確な倫理観や価値観を持っています。この理想が高すぎるあまり、現実の社会とのギャップに悩んだり、周囲から「理想論ばかりで現実的でない」と非難されることもあります。
とりわけ、仕事や社会活動においては、理想を追求する姿勢が「現実逃避」「社会性がない」と誤解されやすいです。しかし、本質的には、社会をより良くしたいという強い動機に基づいており、この強い信念や理想が実際に周囲や社会を良い方向へ変える力になり得ることも忘れてはいけません。
以上のように、INFP-Tタイプが誤解される主な理由は、その深い感受性や内面的な特質が周囲から理解されにくいことにあります。これらの誤解を解くためには、INFP-T本人が自分自身を理解し、自分の特性を適切に表現すること、そして周囲の人々がINFP-Tタイプの本質を正しく理解することが重要です。
MBTIに縛られるな
けれども、MBTIは自分や他者を理解するための一つの便利なツールですが、あくまで性格診断の枠組みに過ぎません。INFP-Tを含め、どのタイプにもそれぞれの強みや課題があり、それを理解することは確かに有益です。
自分自身や他者をMBTIの枠に当てはめすぎてしまうと、本来の個性や可能性を見失うことにもなりかねません。実際には、性格タイプだけでその人の全てを説明することはできません。性格は環境や経験、状況によって変化し、MBTIはその一部分を捉えているに過ぎません。また、INFP-Tタイプであることを理由に自己限定したり、自己否定したりする必要は全くありません。
重要なのは、MBTIを自分を理解するためのヒントや道具として利用することであり、決してそれに縛られて行動や考え方を制限することではないのです。MBTIのタイプを参考にしながらも、自分自身の可能性や個性を広げ、自分らしく生きることを大切にしましょう。あなたがどのタイプであれ、自分らしく生きる自由と可能性を大切にしてください。