舞妓さんのお風呂入りとは?SNS時代に明かされる芸者遊びの闇

舞妓さんのお風呂入りとは?SNS時代に明かされる芸者遊びの闇

京都を象徴する舞妓さんの存在は、観光客や日本文化愛好家から高い評価を受けています。しかし最近では、SNSを通じて、伝統として受け継がれてきた舞妓文化の影に潜む問題が明るみに出始めました。特に注目されるのが「お風呂入り」と呼ばれる慣習です。

本記事では、この「お風呂入り」の具体的な意味や歴史的背景、法的・倫理的問題点、そして舞妓業界の現状を独自の視点と最新の調査データを交えて詳しく解説します。伝統文化を守りながらも人権を尊重する社会を実現するために、私たちが考えるべきことは何かを掘り下げていきます。

目次

舞妓・芸者文化の歴史と発展

舞妓・芸妓の文化は約300年ほど前の江戸時代に京都で始まったとされます。当時、八坂神社や北野天満宮の門前町にあった茶屋で客に茶や団子を振る舞っていた「茶汲女(ちゃくみおんな)」が舞妓・芸妓の起源といわれ、のちに芸事で宴席を彩る存在へと発展していきました​。

京都には上七軒・先斗町・宮川町・祇園甲部・祇園東の五花街(ごかがい)と呼ばれる芸妓・舞妓の花街があります。舞妓は芸妓になる前段階の見習いであり、かつては幼少のうちから修業に入ることもありましたが、現在は中学校卒業(15歳)以上の少女に限られています​。

舞妓は置屋(おきや)と呼ばれる料亭兼住居に住み込み、舞踊や三味線、唄などの芸を習い、一人前になるまで数年間の修業を積みます​。

第二次世界大戦後、日本社会では女性の権利向上や労働環境の整備が進み、舞妓文化もそれに合わせて変化してきました。1950年代には売春防止法が制定され、芸妓・舞妓も公式には純然たる芸能職として位置づけられ、性的奉仕を伴うような慣習は廃される方向へ進みます。実際、戦前は黙認されていた水揚げのような風習も戦後は違法となり、舞妓の年齢制限も引き上げられました​​。舞妓・芸妓の伝統伎芸(伝統芸能としての技芸)は京都市の無形文化遺産にも登録され、観光資源として行政とも深く関わっています​。

特に、京都市や観光庁はこの文化の保存・振興に力を入れており、舞妓さんは国際的にも日本文化の象徴として高い関心を集めています​。

一方で、こうした伝統の裏には経済的に少女を囲い込む旦那制度や、人権上の問題も存在していました。前述の水揚げはその典型で、長く「伝統の習わし」として存続したものの、現代の価値観では許されない悪習として廃止に至った経緯があります​。

お風呂入りも同様に、歴史の一部ではあったものの、徐々に廃れていった習俗です​。戦後以降は、「お風呂入り」のような舞妓への性的接待は倫理的にも問題視され、公式には現代ではほとんど見られなくなったとされています​。

現在の舞妓業界における「お風呂入り」の実態

現代の舞妓の世界で、「お風呂入り」の風習は建前上は廃れているとされます​。多くの舞妓は芸事による健全な宴席の盛り上げ役として活躍しており、日頃から置屋の女将(おかみ)や関係者も未成年舞妓の保護に細心の注意を払っているとの証言もあります​​。

例えば、ある元お茶屋従業員の女性は「私の知る限り、女将さん達は未成年の舞妓がみだらな行為や飲酒をしないよう目を光らせていた。お客様も地位のある紳士的な方ばかりで、水揚げは大昔の儀式という認識だったし、『お風呂入り』なんて今回の告発で初めて知った」と語っています​。

また、匿名の花街関係者も「近年、花街全体で未成年の舞妓の飲酒には厳しく対応しており、『飲まなくていいし飲んではいけない』と普段から言われている。15~16歳の舞妓に酒席で飲酒させるようなことは花街全体で容認されていない」と強調しています​。

しかし、2022年に元舞妓の女性がSNSで内部告発を行ったことで、現実には一部で未だ「お風呂入り」に類する行為や未成年飲酒の問題が残っている可能性が浮き彫りになりました​。

京都・先斗町で16歳から舞妓だった桐貴清羽(きりたか・きよは)さんは、舞妓時代に「浴びるほどの酒を飲まされ、お客さんと『お風呂入り』という名の混浴を強いられた(全力で逃げた)」とTwitterに投稿し、「これが本当に伝統文化なのか考えてほしい」と訴えました​。さらに彼女は「16歳で大量の飲酒や客との混浴を強要された」「5000万円で処女を売られそうになった」とも明かし、「これは国が認めている人身売買ではないか」と過激な表現で問題提起しています​。衝撃的な暴露に対し、ネット上では「花街の闇が深い」と大きな反響を呼び、「#舞妓さんの実態」などがトレンド入りする事態となりました​。

この告発を受け、京都の舞妓・芸妓の業界団体にも動きが見られました。舞妓の育成や派遣を担う公益財団法人「京都伝統伎芸振興財団」(通称:おおきに財団)は取材に対し「現在、事実関係を確認中で、現時点で明言できることはない」としつつ「もし事実であれば対応を考える必要がある」とコメントしています​。

厚生労働省の後藤茂之大臣(当時)も2022年6月28日の会見でこの問題に触れ、「芸妓や舞妓の方々が適切な環境の下で活動することが重要」との見解を示しました​。一連の騒動は社会問題にも発展し、行政も含めた調査と再発防止策の検討が進められています。

業界内部からは「一部の心ない客と特定の店の問題で、花街全体が危険なように思われるのは心外だ」という声もあります​。実際、花街によって客層や慣習には違いがあるとされ、告発者が所属していたエリア(先斗町)は「客層が少し荒れている印象」で、他の花街では聞かないトラブルだとの指摘もあります​。

多くの置屋は「他所様の大事なお嬢さんを預かっている以上、責任を持って大切に教育している」​といい、現在も現役で頑張っている舞妓たちに悪いイメージが及ぶことを懸念する声も少なくありません​。とはいえ、桐貴さんの勇気ある告発によって、これまで表に出なかった問題が可視化された意義は大きく、業界全体が自己点検を迫られているのは確かです。

内部告発後、京都の花街では未成年舞妓の深夜業務や飲酒をより厳格に禁止する動きも報じられています。一部では「既にある花街では舞妓の飲酒を完全に止め、22時までに必ず置屋に帰すよう徹底している」という情報もあり、ルールの再確認と運用徹底が進んでいるようです​。

しかし長年続いた慣習はすぐには改まらない面もあり、「口の堅い常連客には今まで通りの接待が続いているとも聞く」という証言もあります​。現に、桐貴さん自身も「伝統として続けられた悪習が完全に過去のものになるには時間がかかる。根本的な解決が必要だ」と訴えており​、業界内部の意識改革と抜本的な対策が求められています。

法的・倫理的な観点から見る問題

未成年の舞妓に対し、飲酒や混浴の強要が行われていたとすれば、日本の法律や児童保護の観点から重大な問題となります。まず飲酒に関して、日本では20歳未満の飲酒が法律で禁止されています(未成年者飲酒禁止法)が、これは主に酒類提供者や監督者に適用される法律です。

しかし、たとえ罰則が直接顧客に及ばない場合でも、未成年に無理やり酒を飲ませれば刑法の強要罪(223条)や場合によっては傷害罪に該当する可能性があります​。実際に「飲まないとこの街ではやっていけないぞ」などと脅して酒を強いる行為は強要罪(3年以下の懲役)になり得ますし、飲ませた結果アルコール中毒など健康被害を生じさせれば傷害罪にも問われかねません​​。

次に、混浴(お風呂入り)を未成年に強要する行為は、性的な文脈を伴うため更に深刻です。それ自体が身体的接触を含まなくても、18歳未満の少女を酒席に侍らせたり淫行させたりすることは各自治体の青少年健全育成条例に抵触します​。

まして脅迫的な状況下で混浴をさせ、衣服を脱がせたり身体に触れるなどした場合は刑法の強制わいせつ罪(176条)が成立し得る重大な犯罪です​。弁護士の指摘によれば、「お風呂入り」の前提として未成年舞妓に着物を脱がせる行為自体、善良な性的道義に反するわいせつな行為と言え、本人が嫌がらなくても法律上はアウトである可能性が高いといいます​。

さらに問題なのは、舞妓という立場の法的な曖昧さです。舞妓は雇用契約ではなく**見習い(弟子)**という扱いのため、労働基準法上の「労働者」ではないという建前があります​。そのため、本来労働者であれば適用される未成年者保護規定――例えば「18歳未満の深夜(22時以降)の就労禁止」や「酒席に同席させる業務の禁止」​――の適用を免れてしまっている側面があります。この特例的な扱いについて厚労大臣も「舞妓や芸妓が労働基準法上の労働者に当たるか、置屋が事業場に当たるか、一概にお答えできない」と明言を避けており​、現行法のグレーゾーンに置かれているのが実情です。要するに、法律の網をすり抜けた存在として長年黙認されてきたため、労働環境や人権保護の面で十分な体制が整ってこなかったのです。

桐貴さんが「人身売買を国が認めている」とまで糾弾したのは、未成年の少女が実質的に性接待を強いられ金銭で処女性を取引されるような状況は、現代社会において人身売買(トラフィッキング)同然だという強烈な批判です​。法的に見ても、仮に舞妓本人や周囲が「伝統だから」「修業だから」と合意していたとしても、未成年者相手では同意の有無を問わず違法行為となるケースが多々あります。児童福祉法や青少年条例では18歳未満者にみだりに性交等をさせること自体が禁止されていますし、そうした行為を周囲の大人が知りながら黙認・助長すれば保護者責任の放棄にも問われかねません。

要するに、「お風呂入り」のような風習は現代の法と倫理の下では明確にアウトであり、伝統の名のもとに例外扱いは許されない時代になってきています。今回の告発劇を契機に、舞妓を取り巻く法的保護の不備についても社会的議論が巻き起こり、労働法制や児童保護の観点から制度を見直すべきだとの声が上がっています​。舞妓たちが安全かつ健全な環境で伝統芸能を継承できるよう、法の整備と運用の改善が急務と言えるでしょう。

海外から見た舞妓文化と「お風呂入り」

日本独自の芸者・舞妓文化は海外からも高い関心を集めています。白塗りの化粧に豪華な和装という非日常的な姿は、多くの外国人観光客にとって憧れや興味の的であり、京都の花街で舞妓を見かけること自体が観光資源となっています​。しかし、その華麗な表舞台の裏側に今回のような問題があると知り、驚きや失望の声を上げる外国人も少なくありません。

事実、この元舞妓の告発は海外メディアにも取り上げられました。香港の大手英字紙サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)は「日本の元舞妓がセクシュアルハラスメントの実態を暴露。他の芸妓たちも#MeTooと声を上げるのか?」との見出しで報道​しています。

この記事では彼女が「客に着物の中に手を入れられ、胸や下腹部を触られた」と証言したことや、置屋の女将に訴えても十分な対応を得られなかったことが紹介されました​。このように海外メディアは、舞妓・芸者の世界にもハラスメントや搾取の問題が存在する点に注目し、日本の伝統文化における「MeToo運動」の到来かと論じています。

また、海外の人々の中には舞妓=芸者=高級娼婦という誤解を抱いている者も一部おり、日本人が考える以上にセンセーショナルに受け止められる面もあります。しかし実際には、現在の舞妓・芸妓は公式には接待芸能のプロであって売春婦ではなく、その点の誤解を解く努力も日本側には求められます​。今回の報道は「やはり舞妓は身体を売らされているのか」という偏見を招きかねないため、業界としては海外への情報発信にも慎重にならざるを得ません。

SNS時代の告発と舞妓文化の今後

SNSの普及により、これまで密室で語られるだけだった伝統業界の内部事情が表面化しやすくなっています。桐貴清羽さんのTwitterでの告発はまさにその象徴であり、匿名性の壁を越えて当事者の生の声が広く共有され、大きな社会的インパクトを与えました。

彼女の勇気ある行動は称賛と共感を集める一方、残念ながら一部からは中傷や圧力も受けたといいます。告発直後、桐貴さんの元には「嘘つき」「伝統を汚すな」といった誹謗コメントや、「殺してやる」といった脅迫めいたメッセージすら寄せられたとの報道もあり​、彼女は身の安全を案じて一時期SNSを控えざるを得なかったそうです。それでも、最終的には週刊誌のインタビューに応じ実名で実態を語った彼女の姿勢は、多くの人々に問題意識を植え付けました。

SNS告発の波紋は大きく広がり、厚労省や財団が対応に追われる中で、他の元舞妓や関係者からも徐々に声が上がり始めました。「実は私も未成年で深酒を強いられた経験がある」「特定の店では昔から噂があった」といった証言がネット上で散見されるようになり、もはや問題を個人攻撃や嘘だと片付けることはできない状況です。伝統文化の威光の下で長年タブー視されてきた事柄について、若い世代が声を上げやすくなったのはSNS時代の大きな変化と言えるでしょう。

実際、一部の人は「SNSやメディアでの告発をきっかけに、舞妓さんの待遇や労働環境に対する社会の関心が高まり、『お風呂入り』のような風習は排除されつつある」と分析しています​。つまり、情報公開と世論の圧力が伝統業界の自浄作用を促しつつあるのです。

一方で、文化の伝承と保存も忘れてはなりません。舞妓・芸妓が培ってきた日本舞踊や三味線、茶道といった芸はかけがえのない無形文化財です。これらを次世代に受け継ぐためにも、若い人材が安心してこの世界に飛び込める環境づくりが急務です。伝統と改革は相反するものではなく、むしろ両立させることで持続可能な形に進化できます。舞妓文化は時代の変化に合わせて常に柔軟に姿を変えてきました​。だからこそ今、改めて**「伝統とは何か」**を問い直し、守るべき芸と捨てるべき慣習を峻別する時期に来ているのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

DEEP JAPAN QUEST編集部は日本文化に関する総合情報メディアを運営するスペシャリスト集団です。DEEP JAPAN QUEST編集部は、リサーチャー・ライター・構成担当・編集担当・グロースハッカーから成り立っています。当サイトでは、日本文化全般に関わる記事を担当しています。

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