平家の家紋一覧|揚羽蝶の由来や意味、桐紋との関係性も解説!

平家の家紋一覧|揚羽蝶の由来や意味、桐紋との関係性も解説!

800年の時を超えてもなお語り継がれる『平家物語』に登場する「平家」は、どのような家紋を使っていたのでしょうか?

歴史の時間で一度は聞いたことのある名前でも、家紋までを知っている人は少ないはずです。一族の象徴として掲げる家紋を知れば、平家に属する人たちが大事にしていたことが何となくわかるようになると考えられます。

この記事では、「平家の家紋」について考察します。意味や由来も紹介しているので、歴史に興味がある人は参考にしてみてください。

目次

平家の家紋一覧

さて、平家の家紋には、どのようなものがあるのでしょうか?

ここでは、平家に属する人たちが使っていた代表的な4つの家紋を紹介します。

揚羽蝶月に星三浦三つ引き並び矢
あげはちょうつきにほしみうらみつひきならびや
西洞院家千葉氏三浦氏梶原氏
桓武平氏の公家はほぼ揚羽蝶を家紋にもつ。下総国千葉を治めた。鎌倉時代に発展したが、二つの氏族に分裂し、衰退した。相模国の豪族。頼朝を助け北条氏とも協調したが策謀により一族は滅亡。相模国鎌倉郡梶原を拠点にする豪族。鎌倉幕府に仕えるも頼朝の死後に幕府を追われる。
平家の家紋一覧

代表紋は「揚羽蝶(あげはちょう)」とされていますが、主な家紋は4種類に分けられます。

「平家」とは、桓武(かんむ)平氏のことを指します。理由としては、他にも3つの平氏の系統がありましたが繁栄しなかったため、繁栄した桓武平氏を「平家」と呼んでいるのです。

画像参照元:家系図作成本舗

家系図を見ると分かりやすいですが、桓武平氏には2つの大きな流れがあり、高棟流と高望流(坂東平氏)に分けられます。分かりやすく考えるのなら、東の平氏、西の平氏といったところでしょうか。

高望流が関東に勢力を広げ、伊勢に本拠を移す系統があり、その系統を伊勢平氏(いせたいらし)と呼びます。その後、有名な平清盛の登場して全盛時代を迎えます。厳密に言うと、「平家」と呼べるのは伊勢平氏のみでした。桓武平氏の流れをくむ伊勢氏が用いたのが「向かい蝶(むかいちょう)」の紋です。

「向かい蝶(むかいちょう)」

関東に留まった坂東平氏の子孫の多くは源頼朝による平家打倒に手を貸し、その子孫が千葉氏・三浦氏・梶原氏と呼ばれています。関東に勢力を持った坂東平氏の家紋では蝶以外が使われています。

揚羽蝶が代表紋とされる理由は、平清盛の一門が好んで用いたり、高棟流の公家たちが使っていたことから平氏全体を代表する紋と認識されるようになりました。

揚羽蝶の由来と意味

揚羽蝶は、羽をたたんで上の方へあげていることからこの呼び名がつきました。蝶の種類は問いません。他にも飛翔の姿の飛び蝶、円形に作った蝶丸などがあります。公家平氏は揚羽蝶で、六波羅党は蝶丸を使用していたそうです。幼虫から蛹(さなぎ)、蝶へと成長していく様が縁起の良い紋とされました。

なお、織田信長や豊臣秀吉が平氏の出と称するために「揚羽蝶」の家紋を使用していたことも有名です。彼らの家紋について詳しく知りたい人たちは以下の記事もご覧ください。

桐紋を最初に使ったのは平家なのか?

それでは、有名な桐紋ですが、最初に使用したのは平家なのでしょうか?

結論から言えば、平家ではないとされています。肥後天草の豪族大矢野十郎種保が旗印として使用したのが最初であると言われています。これに関しては、大阪府立中央図書館が以下のように回答しています。

『日本紋章学』「桐」の章あり。「桐を家紋として用いたことが史籍に著われるのは、『蒙古襲来絵巻』からである。同書に肥後天草の豪族大矢野十郎種保が旗にこの紋章を付けているのが見られる。」

『リファレンス協同データベース』より引用(最終確認日:2024年4月24日)

なお、平知盛(1152−1185)が使用したという説もありますが、その証拠を示す史料はないようです。桐紋は、藤原時代から鎌倉時代に渡って流行した頃から平家との関連性は薄いと考えられます。

はからずも家紋が示す平家の盛衰

まるで、サナギから躍り出た蝶のように、平氏の武家政権は約20年という短命に終わりました。揚羽蝶の家紋を見ると、そんな平家の運命を生き写しているように感じます。

歴史を見ると、だれしもに栄枯盛衰があります。あらゆるものが変化するなかで、彼らが残した軌跡を学ぶと、人生を生き抜く智慧に気づかされます。興味のある人は是非、平家の一生について調べてみてください。

参考文献一覧

  • 『決定版 知れば知るほど面白い!家紋と名字』綱本光悦 西東社
  • 『面白いほどよくわかる 家紋のすべて 安達史人』日本文芸社
  • 『家紋から日本の歴史をさぐる』インデックス編集部 ごま書房
  • 『日本の家紋事典 由来と解説』大隈三好 金園社
  • 『知識ゼロからの日本の家紋 入門』楠戸義昭 幻冬社
  • 『家系図作成本舗』https://www.e-keizu.com/kakeizu/kanmu.html
  • 『リファレンス協同データベース』https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=1000039546&page=ref_view
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この記事を書いた人

DEEP JAPAN QUEST編集部は日本文化に関する総合情報メディアを運営するスペシャリスト集団です。DEEP JAPAN QUEST編集部は、リサーチャー・ライター・構成担当・編集担当・グロースハッカーから成り立っています。当サイトでは、日本文化全般に関わる記事を担当しています。

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